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民法改正・解説コラム 第4回『法定利率』

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民法改正・解説コラム 第4回『法定利率』

弁護士 舛田 雅彦

皆さんは、法定利率についてご存知でしょうか?金銭的な債権について、利息を支払う必要があるときに、具体的な利率を定めていないあるいは定められない事情がある場合は、法律で定められた利率の利息を請求できることになるので、この法定利率には結構重要な意味があります。

自分は利率を決めないでお金の貸し借りをすることはないから関係ないと思われるかもしれませんが、この法定利率は、裁判などで、訴えを起こしたときから支払を受けるまでの期間に応じて加算される遅延損害金の算定基準にもなりますし、金銭債務の不履行による損害賠償額の算定や、交通事故に遭ったときの損害賠償で、将来の収入が減少してしまうことに対する賠償(この損害を「逸失利益」といいます。)を受ける際に、一時金で賠償金を受け取る場合には、本来の支払期日よりも前払になるので、その期間に応じて賠償金額を減額(これを「中間利息控除」といいます。)する際の基準の利率にもなります。特に、交通事故の場合、被害者の年齢が若ければ、それだけ将来収入を得られるはずの期間が長くなるので、この中間利息控除の利率がいくらになるかは、賠償額に大きく影響を及ぼします。

そんな法定利率ですが、現在の法定利率がいくらかご存知でしょうか?

実は、現在民法が規定している法定利率は、年5%という割合で定められています。私が子供のころ(今から50年くらいも前のことです。)は、定期預金に1万円を預けるとだいたい年に500円の利息がついていたので、当時の金利感覚からすると年5%は適正だったのだと思います。

しかし、今は、銀行の定期預金にお金を預けても利息は年1%にも遠く及ばない、ごく僅かしかつかないのが現実です。それにもかかわらず、何か法的なトラブルがあって、それを裁判所で解決しようとすると、利息の基準が一気に年5%に跳ね上がるのですから、この利率は余りにも実態とかけ離れているということで、民法の大改正に合わせて、法定利率の割合も引き下げることになりました。

新しい民法404条では、法定利率を3年ごとに見直す変動制として、最初の利率を年3%と定めています。(第2、3項)

して、支払いをしている期間中に法定利率が変更になっても、特に別の約束をしていない限り、「その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による。」とされました。(第1項)「その利息が生じた最初の時点」とは、利息を支払う最初の回ではなく、その元になる事実が発生した時点(貸金の利息であれば貸金を交付した時点)なので注意が必要です。

さらに、変動する利率についても、恣意的に定められないように、利率の見直しを行う前5年間の銀行の短期貸出金利の平均(0.1%未満の端数切捨て)とすることも条文に明記しました。

なお、個人間のお金の貸し借りの場合は、特に利息を支払うという約束がなければ、この法定利率の規定があっても金利を請求することはできませんので、その点はお間違えの無いようにお願いします。

また、現状では、商事行為によって発生した債権の法定利率は年6%と定められ、この場合には、金利を支払う約束がなくても、当然に金利を請求できることになっていますが、法定利率が変動制になった関係で、商事の法定利率に関する年6%の規定は削除されます。(手形や小切手に関する利率は従来通り年6%のままです。)

民法が改正された後は、私たちの法律関係に関する基本的な利率は年3%と覚えておいて、とりあえずは間違いないですね。

弁護士 舛田 雅彦
弁護士 舛田 雅彦

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