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企業経営の先行きが見えない時には

企業経営が順調なとき、経営者は、毎月の業績を管理し、収益を適切に分配し、さらには、今後のための経営戦略を考えていけば良いわけですが、企業経営に陰りが生じたときには、営業のテコ入れから毎月の支払資金の調達、債権者との折衝など多くの難問を抱えて日々を送らなければならなくなります。

好調な企業であっても、業績が一本調子で上昇するというよりも、業績の波をいくつも経験しながら、徐々に上向いていくというのが多くの企業の実態ですが、業績の波が下降しているときに上昇に転じる方策が見出せない、あるいは、長期的に業績が悪化して毎月の資金繰りが徐々に悪化しているというようなときに、経営者はどうすれば良いでしょうか。

業務プロセスの改善によって業績の回復を目指すことは常に意識しなければならないことで、そのための資金調達をすることは意味のあることですが、当座の資金繰りを凌ぐためだけに借り入れを重ねるというのは最悪の選択となります。借入をする際には、その借り入れの返済の見通しや、借り入れた資金を投入することによってどのような効果が見込めるのかという見通しが不可欠です。この見通しもなく借入をするのは、借入をするために会社の役員や親類、友人などを連帯保証人に巻き込んでしまうなど、多くの悪影響を及ぼすことになります。

会社の経営者は、これまで苦労して経営してきた会社なので何とか続けたいという気持ちが強いため、どうしても会社の存続の可能性に関する見通しが甘くなってしまいます。そのため、経営の立て直しを図るためには、客観的に判断できる第三者の視点で分析する必要があります。

弁護士は、会社の破産のような廃業に向けた手続だけでなく、民事再生や債権者との交渉による企業再生、あるいは、合併や営業譲渡等の方法による事業の継続に関する業務も行っています。

一人で悩んでいないで、専門家のアドバイスを受けることが、経営者の皆様にとって最善の解決をするための第一歩となります。

業務内容のご紹介

法律相談

まずは、現在の経営状況をご相談ください。
相談は以下のような流れで進みます。

  • 最初に、現在の会社の概要をお聞きして、現状の問題点の概略を把握します。
  • そのうえで、過去3年分の決算報告書(損益計算書、貸借対照表、それにキャッシュフロー計算書等)を見せていただいて簡単な経営診断を行います。
  • 経営診断の目的は、会社の継続可能性があるかどうかについてです。ここでポイントとなるのは、損益計算書の営業利益が最低でもプラスでなければならないということです。多くの破たん企業は、営業利益から営業外収支を差し引いた経常利益がマイナスになることが破綻の最終的な要因となりますが、営業外収支の多くの部分は借入利息であるため、債務のことをとりあえず考えずに、本業の収支がどのようになっているかをまず確認する必要があります。ここがマイナスであれば、よほどの業務プロセスの改善ができない限り再建はできません。(相談の前に、ご自分で決算資料を確認してみてください。)
  • 本業の収支が黒字でも、会社を再建するためには、借入を全く支払わないというわけにはいきません。したがって、今後業務を続けていく中で相当額の返済資金が出てくる見通しが立つかという視点で、もう一度決算資料を見てみます。(この場合には、債務免除を求めることによって、信用が悪化し、取引が減少することを勘案して業績見通しを立てる必要があります。)
  • 経営改善ポイントも、いくつかあるでしょうから、その改善後の数字をシミュレーションしてみるとどうなるかということも検討する必要があるでしょう。これらの作業を行ってみて、再建は困難という結論になれば会社の廃業に向けた手続をすることになります。

廃業のための手続

  1. 法人破産
    • 廃業の場合、経営破たん後の混乱を回避するためには、裁判所に破産の申し立てをするのが一般的です。破産決定がなされた後は、破産管財人が会社の資産を管理し、換価できるものは換価し、債権を回収するなどした上で、配当することになります。配当するだけの資金が確保できないときには、配当できないという理由で破産手続を終わりにすることになります。いずれにしても、混乱なく、法的な手続として会社を整理できることになります。
    • 法人破産の申し立てをする場合には、必ず破産管財人の選任がなされることになるため、管財人報酬その他の手続費用に充てるために予納金を裁判所に納める必要があります。予納金の額は、債務の額をもとに一応の基準はありますが、中小企業が破産する場合には100~200万円程度を想定していれば良いでしょう。(管財業務の難易度や産業廃棄物処理の必要性などによっても額が変わります。)
    • そのほかに、申立代理人の費用も必要になりますので、法人破産をするためには、最低でも200万円程度の資金を用意しておく必要があります。
  2. 法人の任意整理
    • 破産予納金を用意できない場合には、破産手続は使えませんが、これに代わる方法として、任意整理あるいは私的整理といわれる手法があります。これは、弁護士が債務者の代理人となって、資産関係を整理して債権者に配当するなど、破産管財業務に準じた方法で会社を整理する方法です。
    • 任意整理の場合には、債権の放棄などについて強制力はありませんので、債権者全員から任意の協力を得られなければ、法的な意味で会社の清算をきちんと行うことはできませんが、会社の債権債務関係について、透明性の高い手続で整理されたということで、会社の債権債務を巡る問題は事実上解決するということになります。
    • この任意整理を行う場合の費用の目安は、着手金として100万円程度、配当を実施できる場合には、配当財源の中から1割程度を別途報酬として支払っていただくことになります。

企業再建のための手続

  1. 民事再生
    • 経営分析の結果、債務の圧縮ができれば事業として成り立ち得ると判断した場合には、再建型の法人整理を模索しますが、その中でも裁判所の手続によって債務を圧縮できる方法として民事再生があります。
    • 裁判所の手続による債務圧縮の手段としてはこのほかに会社更生という手続もあるのですが、会社更生は、債権者に対する強制力が非常に強いため、大きな株式会社を対象とした手続として構想されており、費用と時間がかかりますし、経営陣も交代することが前提となるなど、中小の事業者が利用することは事実上できない制度と言えますので、ここでは説明を省きます。
    • 民事再生は、相当割合の債権額の免除をしてもらって債務を圧縮し、残った債務を数年の分割で支払うという再生計画を手続の中で認めてもらう制度ですが、再生計画の履行可能性があることと債権者の同意(債権者数、債権額それぞれの過半数の同意)という要件をクリアする必要があります。
    • したがって、債務を圧縮しても、先に述べたように、本業の利益が再生計画に基づく支払をできるだけのものでなければ、再生は無理と判断されてしまいますので、本業の収益見通しが適切に立てられるということが最も重要な要件となります。
    • なお、この支払い可能性を判断する際に、うっかりしがちなのが、免除益の問題です。再生計画が認められると、その分債務免除を受けることになるため、会社は利益を計上する必要があります。それまでに累積欠損があって免除益を償却できる場合は良いのですが、そのようなことがなければ免除益に相当する税金の支払いが必要になりますので、この点は注意が必要です。
    • また、債権者にとっては、この計画を認めることは、債務を大幅に免除した上で残金を長期の分割で受け取るということになりますので、債権者側の業績によっては、破産して一括で無税償却できた方が良い判断されることもあります。その意味では、大口債権者となるメインバンクの意向が再生手続の成否を分けることになります。
    • これらの難問をクリアできれば、会社は再生計画案を承認されて再生手続は終了し、あとは再生計画に基づいて支払いを完了することに力を注げばよいことになります。
    • 再生手続を行う場合の費用としては、申立代理人の費用のほかに裁判所が選任する再生委員と監督委員の報酬を予納する必要があります。この場合の予納金の額は、破産手続と同程度か若干高めの金額になります。
  2. 私的整理
    • 債権者数が少ない場合や、債権者の多くが会社の再建に協力的な場合には、裁判所に申し立てをすることなく、債権者の協力を得て債務を整理して債権を図ることもできます。
    • この場合に重要なのは、裁判所の監督がないために、債権者に対して透明性の高い手続をして、債権者の納得と同意を得る必要があるということです。
    • 今後の業務遂行のために協力してもらう必要がある取引先を特別扱いするということも、場合によっては可能ですが、他の債権者が了解できる条件である必要がありますので、その判断は慎重に行う必要があります。
    • 手続としては、債務者から依頼を受けた弁護士が主催して債権者集会を実施して、会社の状況等を説明し、場合によっては債権者の代表者で構成する債権者委員会を設けて、債権者委員会の同意を得ながら手続を進めるということになります。
    • この場合も、大口の債権者である金融機関の意向が大きな意味を持ちますので、金融機関の理解を得るための努力は欠かせないことになります。

事業を残すためのその他の方法

  1. 合併
    • 会社の事業は、一体として運営されているからこそ価値があるものであり、解散してバラバラになってしまうと、会社資産も含め、価値は大幅に下落することになります。また、会社が解散してしまうということは、従業員が職を失うことにもなります。
    • 会社の事業価値を最大に生かし、従業員の雇用を維持することを考えるというのも経営者の判断として必要なことです。
    • そのために、会社全体を他の会社と合併して引き継いでもらう方法が合併ですが、合併の場合には、債務もそのまま引き継ぐ必要があるため、合併を受け入れる会社にとって、債務を負担してもそれ以上に合併をするメリットがあるかどうかがポイントになります。
    • 合併する側の既存の業務と合併する会社の業務とが合体することで相乗効果が期待できるような場合は合併という選択もあるでしょう。
    • 通常、債務超過の会社を合併でそのまま引き継ぐメリットは大きくないので、会社の合併の前に、民事再生などで債務を圧縮してから合併するということもあります。
  2. 営業譲渡
    • 会社の合併は、債務も引き継がなければならないという問題がありますが、債務は既存の会社に残したまま、収益力のある事業を、別の事業主体に移す方法として営業譲渡があります。
    • 営業譲渡の対象が会社の重要な部分であれば債権者保護のための手続が必要になりますが、その点については、営業譲渡に伴って債務を一部引き継ぐなどの方法で債権者の理解を得て手続を進めることも可能です。
    • これによって、一体としての事業と従業員の雇用を守ることができます。そして、残された会社については、営業譲渡の対価を配当するなどして別途会社整理をすることになります。

このように、会社整理といっても多くのメニューがあり、そのうちのどれを選択するかについては、専門的な判断を要することになります。

相談を受ける前の留意点

資金の確保

会社の債務を整理する場合には、法的な手続をとる場合だけでなく、裁判所の手続を通さない場合にも相当額の費用がかかります。資金がなければ破産もできないのです。

相談者の中には、金が払えないから倒産するのに、そのための資金を用意することはできないと言う方もいますが、実際には、それまでに何とか支払いを継続しようとして手元にあった資金を吐き出した後に相談に来られるから資金がないだけであって、もう少し早いタイミングで相談に来ていただければ、会社を整理する資金が十分にあったということがほとんどです。

医学の世界で手遅れになった患者を救うことができないのと同様に、法律の世界でも時機を失して相談に来られた方を救済するのは非常に困難なことです。

また、預貯金が十分にあっても、それが借入をしている金融機関に積まれているものであれば、信用不安が生じた時点で降ろせなくなることが少なくありません。そのような事態を防ぐためには、金融機関に不審に思われないように、預金を引き出して現金化しておく等、手続資金を確保しておく必要がありますので、この点もご留意ください。

情報漏洩の防止

弁護士は、守秘義務を負っているため、相談者からお聞きしたことを取引先等に口外することはありませんが、事前に相談する相手を誤ると、その相談相手から会社の苦境が外部に漏れることがあります。

そのため、事前に状況を相談する場合でも、その相手はごく限られた役員と守秘義務を負う外部の専門家に限定すべきです。メインバンクに相談すると、資金の引き上げや預金の凍結などの問題があるため、メインバンクへの相談は、専門家に相談して方針を固めた後に行うべきです。

また、税金や社会保険料を滞納している場合に、役所から呼び出されて、未回収の売掛金などを報告してしまうと、その売掛金を差し押さえられてしまい、その後の再建計画に支障を来すことがありますので、これらの呼び出しが来たときには、役所に行く前に専門家に相談する方が賢明です。

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