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┃ ◆札幌総合法律事務所メールマガジン◆
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━「第112号」━━━━━━━━
平成21年9月14日発行
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【コラム】
『クレームの法的検討』 弁護士 田代 耕平
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今回は、平成21年6月11に書かせて頂いたメルマガの続きを書かせ
ていただきたいと思います。
クレーマーの要求内容に関して「法的に正当ではない要求」か否かはど
のように判断すればよいのでしょうか?
クレーマーの要求内容であっても法的根拠があるか否かは最終的には裁
判所が判断するものです。訴訟では双方当事者からの主張及び証拠に基づ
いて事実を認定しその事実は法律にあてはめて判決を下します(いわゆる
三段論法といわれる方法です)。
基本的な思考方法は、クレームとの交渉においても訴訟と同様です。
しかし、訴訟とは異なり、クレーマーは整理された証拠を提出するわけ
でもなく主張も支離滅裂な場合があります。
また、クレーマーの対応を担当する担当者が必ずしも法律に精通してい
るとも限らない上にクレーマーは短時間での回答を迫ってきます。
そこで、担当者が注意すべき法的な視点をお話しさせていただきます。
その前提として、相手方の主張・要求をじっくりと聞きとってください
(事実確認)。次に、相手方の主張する事実が真実であるかをできる限り
確認してください(事実調査)。例えば、対応した従業員からの聞き取り
であったり、欠陥商品の現物や領収書の確認などです。(これらの事実確
認については、メルマガNO.97でお話ししておりますのでご参考にし
てください。)
その上で、相手方の要求に法的な根拠があるのかを判断します。上記(
1)事実確認(2)事実の調査を行わないと基本的に法的根拠の有無は判
断できません。(もっとも、「今すぐ社長が土下座しろ!」などの要求内
容が異常なもので、事実確認・調査をするまでもなく明らかに法的根拠が
ないものもあります。)
それでは、法的責任の有無はどのように判断すればよいのでしょうか?
法的責任を判断するときには、基本的に(1)責任の有無(2)損害の
有無(金銭評価も含みますが、この点については回を別にしてお話しさせ
ていただきます)(3)責任と損害との間の因果関係の有無によって判断
します。
これらすべてが認められて初めて法的責任が発生します。
まず、損害についてですが、損害についてはクレーマーが積極的に主張
してくれるので、本当にそのような損害が発生したかについて調査するこ
とが重要な作業となります。
次に、責任ですがこちらに何らかの手落ち(故意・過失)があるかを判
断します(もっとも、厳密には瑕疵担保責任などの無過失責任を問われる
こともあります。そのような場合には商品が通常有すべき性能が備わって
いるか否かを判断することとなります。)。
最後に、責任と損害との間の因果関係(責任と損害の関連性)を判断す
ることとなります。ここで注意が必要な点は、因果関係とは「あれなけれ
ばこれなし」(「条件関係」といいます)を意味するのではなく相当因果
関係が必要であるという点です。
相当因果関係とは、責任から通常発生する損害か否かの判断です。
つまり、責任があって結果的に損害が発生したとしても、その損害が責
任から通常生じる損害でない限りその損害に対する法的な責任は生じない
のです。
「風が吹けば桶屋が儲かる」方式(風が吹く→目にゴミが入って失明す
る人が増える→失明した人が三味線で生計を立てる→三味線が売れる→三
味線の材料である猫が減る→ネズミが増えてネズミが桶をかじる→桶の注
文が増えて桶屋が儲かる)の因果関係では法的責任は発生しないのです。
通常、風が吹いても桶屋は儲かりません。
現在の悪質クレーマーで説明すると、腐ったリンゴをスーパーで購入し
たために仕事を休んでスーパーまで行って説明したのだから休業損害を払
えなどというものが考えられます。
確かに、腐ったリンゴを購入しなければスーパーに説明に行くことはな
いので条件関係(「あれなければこれなし」)は認められます。
しかし、仮に実際にクレーマーの言うとおりに会社を休んでいたとして
も、通常腐ったリンゴの説明をするために会社を休む必要はないでしょう。
そうすると、腐ったリンゴとクレーマーの休業損害には相当因果関係は認
められず休業損害を支払う法的責任は発生しないのです。
このように、たとえ何らかの責任が発生していたとしても実際に生じた
すべての損害(支出)を支払う法的な根拠はないのです。
実際の交通事故等の訴訟においても、交通事故と実際に弁護士に支払っ
た弁護士費用全額との間に相当因果関係は認められず、認容額の約1割程
度が交通事故と相当因果関係のある弁護士費用(損害)とされます。
以上、法的責任についてお話しさせて頂きましたが、私がクレーマー問
題の相談を受けて特に気になるのは相当因果関係という視点が相談者にも
欠落している点ですので、皆様も何らかの責任を認めて損害賠償金をお支
払する際には責任と損害の間に相当因果関係があるかという点を今一度ご
検討いただければと思います。
次回は、法的責任に関して損害の金銭評価についてお話させていただく
予定です(特に慰謝料についてお話しする予定です。)。
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【勉強会のご案内】
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札幌総合法律事務所では以下の勉強会を行なっております。
■コンサル弁護士マスダの「企業経営勉強会」
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次回 9月17日(木) 18:30-20:30
予定している内容
具体的な企業を対象に、その企業の現状分析と今後の
勉強会の在り方などを中心にディスカッションする予
定です。
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→ 欠陥住宅の事例・法律問題を検討します。
次回 未定(10月実施の予定)
札幌総合法律事務所 大会議室
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次回 9月14日(月) 17:30-19:30
テーマ 「建築」
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日時 平成21年9月29日(火)
18:30-20:00
会場 札幌総合法律事務所 大会議室
テーマ 団体交渉「団交に立ち向かうために」
講師 弁護士 田代 耕平、弁護士 吉田 友樹示
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日時 平成21年11月24日(火)
18:00-19:30
会場 かでる2・7 520研修室
テーマ 「施設内の労働問題」(担当:吉田)
SV 弁護士 石川 和弘
講師 弁護士 福田 直之、弁護士 野谷 聡子、
弁護士 田代 耕平、弁護士 吉田 友樹示
ホームページにも情報を掲載しています。
http://www.sapporo-sogo-lo.com/publication/index.html
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出演していますので、どうぞご覧下さい。
◆ 次回出演日 9月17日(木) 15:45-17:00 ◆
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【次回発行日】 次号は9月28日(月)の発行予定です。
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