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                         2005/09/20

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┏━【第16号の目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃                              ┃
┃ ■ 高齢者の財産管理(3)     弁護士 石川 和弘  ┃
┃ ■ 気になる判例          弁護士 大崎 康二  ┃
┃ ■ 祭りの後            弁護士 舛田 雅彦  ┃
┃                              ┃
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 ┃【 高齢者の財産管理(3)】    弁護士 石川 和弘 ┃
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  前回は、高齢者の「財産管理」と「身上監護」の問題点につい
  てお話しました。

  今回は、高齢者の財産管理と信託の関係を説明します。信託と
  は、自分の財産を信頼できる人に譲渡して、その財産を管理運
  用してもらうという仕組みです。

  管理運用を頼む高齢者を「委託者」、管理運用を頼まれる方を
  「受託者」といいます。

  高齢者の財産管理に関しては、信託は3つの機能を有するもの
  と言われています。


  第1に、

  高齢者の判断能力低下を想定した「意思凍結」の機能です。

  高齢者である夫が何の準備もしないまま認知症になってしまっ
  た場合、法律上、妻が勝手に資産を管理運用することはできな
  くなります。

  そうなると、この段階では、家庭裁判所に対し、成年後見の申
  し立てをすることになります。

  もちろん、成年後見人(親族がなる場合もありますし、弁護士
  のような第三者がなる場合もあります。)も自分や妻に対して
  配慮はしてくれるでしょう。しかし、それが100%自分の希望と
  合致するとは限りません。夫としては、自分が判断能力を失う
  前に、自分の信頼できる人との間で信託契約を結んでおけば、
  判断能力を失った後も、信託契約の内容どおりに資産の管理運
  用がなされるのです。


  第2に、

  第1の「意思凍結」機能の硬直性のデメリットを補正するもの
  として、「裁量機能」が認められていることが重要です。

  「意思凍結」機能を徹底すると、信託契約以降に、予想外のこ
  とが起きた場合でも、受託者は、当初の契約内容どおりの管理
  運用しかできず、かえって、委託者である夫やその妻の利益に
  反することになりかねません。

  そこで、「裁量信託」(反対の概念は、「確定信託」)という
  類型が認められており、受託者は弾力的な運用ができることに
  なっているのです。


  第3に、

  受益者の「連続機能」があげられます。

  「受益者」とは、信託の設定により利益を受ける人をいいます
  が、これは、当初の信託契約における委託者とは必ずしも一致
  しなくてよいのです。

  そうなると、夫としては、重要な資産について、自分が死んだ
  ら妻を、妻が死んだら長男を受益者とする信託の設定が可能と
  なるのです。


  さて今回は、法律の堅苦しいお話をしました。

  次回は具体例を示して、分かりやすい話しにします。


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 ┃【弁護士大崎の気になる判例 】  弁護士 大崎 康二  ┃
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  組合による経営批判のビラ撒き等に対する損害賠償請求が
  認められなかった事例


  本件は、A社が一年契約の事務員について数回にわたって契約
  更新を行ってきたにもかかわらず、ある時期になって、突然契
  約の更新を拒絶したこと(こういうことを「雇い止め」といい
  ます。)を巡って、A社と組合に争いが生じ、組合が街頭でA
  社の対応を批判するビラを配布し、そのビラの内容をHP上で
  公開したことに対し、A社が会社の信用を害されたとして、組
  合を相手に損害賠償の訴えを提起したものです。

  裁判所は、

  1)組合が雇い止めの事実を真実と信じるにつき
    相当の理由があったこと、

  2)批判の内容も組合活動として許容範囲内であること、

  からA社の請求を認めませんでした。


  本件は、会社の信用毀損が問題となった事例について、裁判所
  が、公表した内容が真実でると信じたことについて相当な理由
  があれば、公表について不法行為責任を認めないという結論を
  採った事案です。

  本件のような事案でも、公表した事実が明らかな嘘であれば、
  組合は保護されません。しかし、真実とまでははっきりわから
  ないものの、真実と信じるについて相当な理由がある場合には、
  組合は保護されることになります。

  このようにしないと、通常は、批判の内容が真実であることを
  証明する資料を収集するのが困難なため、はっきり真実と証明
  する証拠がない限り批判者を保護しないというのでは、社会的
  に有益な批判が闇に葬られてしまうということになるからです。

  本件も、この理屈により組合が保護されました。

  1)の部分は、わかりにくい表現となっていますが、要するに、
  通常人であれば信じるであろうという程度の根拠がある場合を
  言っています。

  本件は組合に対する損害賠償請求が否定された事案ですが、裁
  判所の言う「相当の理由」がある以上、例えば、このような事
  実の公表を理由に、組合員に対する懲戒処分や昇給の据え置き
  といった不利益処分をすることも許されないことになります。

  したがって、会社には、このような信用毀損が問題となるよう
  な場合、直ちに組合ないし組合員を処罰の対象にするというの
  ではなく、内容の真実性を調査し、組合員からの聞き取り調査
  も行った上での慎重な対応が求められることになります。


                           以上


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 ┃【 祭りの後 】         弁護士 舛田 雅彦  ┃
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   9月11日に投開票された今年の衆議院選挙は、皆さんご存
  知のとおり自民党が結党以来の大勝利を収め、民主党の岡田代
  表は退陣に追い込まれました。

   もともと小選挙区制という選挙制度は、二大政党のいずれか
  に風が吹けば、地滑り的な大勝利がもたらされる選挙制度では
  ありますが、今回はその選挙制度の分を差し引いても、自民党
  が空前の大勝利を収めたことは間違いないでしょう。

   この選挙結果は、多くの国民が小泉首相が選挙戦を通じて述
  べてきた改革路線を更に進めて欲しいという希望を持って投票
  したためにもたらされたものと思いますが、選挙の熱が冷めて
  冷静になってみると、本当に小泉首相がこれから国民のために
  なる改革を断行してくれるのか不安を抱く方も少なくないよう
  です。選挙直後の世論調査では、選挙結果に肯定的な回答が多
  数だったのが、そのわずか1週間後の直近の世論調査では、選
  挙結果に満足していない方のほうが過半数を占めているという
  報告もされています。その選挙結果に満足しない理由の多くは、
  自民党の勝ち過ぎということで、余りに与党の勢力が強大にな
  りすぎて、野党が適正なチェック機能を果たし得なくなってし
  まったのではないかという不安からだと思います。

   私自身は、郵政民営化是か非かという対立軸の立て方は本来
  の国政選挙のあり方からすると極めて異常な問題提起で、選挙
  の争点として、国政の多くの課題に関する論点を掲げてその政
  策を競おうとした民主党の戦い方のほうが、衆議院議員の選挙
  としてはフェアで好感が持てました。小泉首相の選挙演説は国
  政の重要課題から国民の目をそらせて郵政民営化一本で勝負す
  る、まさに小泉マジックだったのではないかと思えてなりませ
  ん。

   ともあれ、国民の審判は下り、今後4年近くはおそらく衆議
  院選挙はないと思われますので、その間の国政については与党
  にフリーハンドを与えるに等しい選挙結果となりました。

   与党関係者の中ノは、大勝したために、実行力を伴った責任
  ある国政運営をしなければ、次の選挙の時にはそのゆりもどし
  で大敗をする恐れがあると気を引き締めている方々もいるよう
  です。私たち国民も、与党が数を頼んで横暴な国会運営をする
  ことがあれば、次の選挙の際には逆の結果もあり得るとサイン
  を送り、監視の目を光らせ続けることが必要だと感じています。

   今回の選挙は小泉劇場、刺客騒動などで全国的に盛り上がっ
  て、さながら大きなお祭りのようでした。祭りの後は静けさが
  戻り、私たちも国政から目が遠のいてしまうかもしれません。
  しかし、今回の選挙結果が今後の国政に大きな影響を与えるで
  あろうことは明らかです。後になって後悔して、後の祭りとな
  らないよう、今後の政治の動向を注視していきたいものです。


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┃ ◆ 編集後記 ◆          弁護士 舛田 雅彦  ┃
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 9月になっても暖かい日は続いていますが、そのせいか油断して
 風邪を引いてしまいました。風邪からきていると思うのですが、
 ここ2週間ほどは、咳き込むと止まらない症状が続いています。
 咳は体力を消耗するばかりでなく、集中力も奪ってしまうようで、
 好きなゴルフの調子も上がりません。

 何事も健康が一番と考えさせられる今日この頃です。季節の変わ
 り目は体調の変わり目でもあります。皆様も健康はご留意ください。

                          舛田

    ~次号は、 10月3日(月)発行予定です~


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