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法律 Q&A

札幌タイムスに掲載された原稿を若干手直しして掲載しています。顧問契約をしていない方からメールでご相談いただいても、原則としてお答えすることはありませんのでご了承ください。

これはマルチ商法でしょうか?

知人から「インターネットのホームページのスペースを年額12,000円でレンタルして会員になって、そのシステムを他人にも紹介して入会させ、更に紹介して入会した人が新たな入会者を勧誘して入会者が増えると、増えた分だけ紹介者にボーナスが貰える。一緒にやらないか。」と誘われています。

知人本人は、「絶対マルチ商法ではない」と言い張るのですが、疑わしく思います。これはマルチ商法ではないのでしょうか。

ご質問のシステムが「マルチ商法」に当たるかというと、直ちに「マルチ商法」とはいえないと思います。マルチ商法については訪問販売法で規定されていますが、①商品やサービスの販売や斡旋を行うもので、②特定の利益を得ることができるとして勧誘し、③加入等の際に2万円以上の負担を条件としているものというのがその法律の定義ですから、「年額12,000円」というのはこの要件をクリアしているということがいえるでしょう。(ただし、この要件をクリアしていたとしても、いわゆる「マルチまがい商法」として契約の違法性や、公序良俗に反して無効といわれることもあります。)また、訪問販売法もマルチ商法自体を違法なものとしているのではなく、マルチ商法に伴う違法な勧誘を規制しているのですから、「マルチ商法」だから全て悪いのだとまでは言い切れません。

ただ、社会問題になるような「マルチ商法」は、提供される「商品やサービス」が価格に見合わないものであったり、勧誘される者にとって不必要なものであったりするほか、顧客を紹介することによって得られるマージンが算術的にみて組織として成り立たないようなものであることがほとんどですから、冷静にそのシステムを検証してみる必要があります。(提供される商品やサービスがほとんど無価値であるにもかかわらず、実際に自分が支払った金額以上のマージンが支払われるという仕組みは、システム全体でみると将来必ず破綻します。)

それでは、ご質問のシステムが法的に問題ないかというと、そうとはいえないでしょう。わが国における「マルチ商法」に対する規制は、元々は「ねずみ講」を規制する目的で制定された「無限連鎖講の防止に関する法律」をすり抜けるために、商品やサービスの取引の外形を利用した「ねずみ講」もどきの取引を規制する目的で規定されたものです。商品やサービスの取引の外形を利用した取引で、マルチ商法に該当しないものであっても、外形上の商品やサービスの取引が実質を伴わないものであり「ねずみ講」に該当するという判断をされれば、無限連鎖講の防止に関する法律違反ということで処罰される恐れは十分にあります。インターネット上のホームページのスペース自体に価値を見出すことが全くできないとまではいえませんが、そもそも無限に広がる可能性のある利用者に対して十分なホームページスペースを提供することは不可能な話であり、このシステムの実態がホームページスペースという架空の商品を媒介にしたねずみ講であると判断される可能性は十分にあり得ることです。

無限連鎖講の防止に関する法律違反の罰則は、開設者であれば3年以下の懲役と300万円以下の罰金を選択的にあるいは併科されることになりますし、業として勧誘をした者は1年以下の懲役又は30万円以下の罰金、単純に勧誘しただけでも20万円以下の罰金刑に該当する犯罪ということになります。(ご質問の場合には、この勧誘を仕事にしようというものですから「業として勧誘をした者」ということになります。)

なお、ご質問と類似のシステムに関しては、インターネット上で広く勧誘されており、ピラミッドスキーム(ねずみ講)であると警告を発している外国の警察もあるようです。

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