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法律 Q&A

札幌タイムスに掲載された原稿を若干手直しして掲載しています。顧問契約をしていない方からメールでご相談いただいても、原則としてお答えすることはありませんのでご了承ください。

5年以上別居したら離婚されてしまうのでしょうか?

40歳台の主婦です。
夫は5年前から家を出て、女性と一緒に生活していますが、このたび夫の方から、「5年以上別居したら離婚できるのだから離婚届に判を押してくれ。お前が判を押さないのなら、自分の方で勝手に離婚届を出すから。」と一方的に言われてしまいました。

自分には全く落ち度はないと思っていますし、夫も自分の女性関係がもとで離婚するということは認めています。

このような場合私は離婚に応じなければならないのでしょうか。また、夫が勝手に離婚届を出すのを防止することはできないのでしょうか。

離婚は夫婦の合意に基づいて離婚届を出せば離婚ができるのですが、どちらか一方の当事者だけが離婚を望んだとしても、相手方が離婚を承諾しない場合には裁判で離婚が認められない限り離婚をすることはできません。

ご主人の言っている「5年以上別居したら離婚できる」というのは、民法の改正要綱試案として報道されたものを自分に都合のいいように歪曲して解釈しているのだと思いますが、この試案も別居期間だけでない要件を夫の側に科しており、簡単に離婚できるというものではありませんし、なによりもこの改正試案に基づく立法がなされていないのですから、5年の別居だけで離婚できるということにはなりませんのでご安心ください。

ただ、ご主人のようないわゆる有責配偶者であっても、別居が更に長期化し、婚姻関係の実態が失われて、もはや婚姻関係の修復は不可能というような事態になれば、もちろん相当額の慰謝料や財産分与の支払いを前提としてですが、ご主人の側からの離婚請求が認められる場合もあります。これは、民法770条1項 5号の「婚姻を継続し難い重大な事由がある」と判断される可能性があるからです。(これも、あくまでも裁判で認められればということです。)

また、ご主人の方で勝手に離婚届を出すというのは、有印私文書偽造の犯罪に当たりますし、民事上も、離婚無効の判決を得て戸籍を訂正することも可能です。しかし、そのような手続を採ることは大変なことですから、市区町村の役所の戸籍係に離婚届を受理しないで欲しいという内容を記載した「離婚届の不受理申出書」という書面を提出しておけば(口頭では認められません)離婚届は受理されないようになります。ただ、この不受理申出の有効期間は申出書受理の日から6か月ですから、この期間が過ぎてもまだ不安があるときは、再度不受理申出の書類を提出しておく必要があります。

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ボケてしまった親の財産を守ってあげる方法は?

私の母は、現在78歳になりますが、3年前に父が亡くなったときから、両親と同居していた兄夫婦と一緒に道東の町に住んでいました。ところが、父が亡くなってから急に母のボケが進み、近所を徘徊するようになるなど、兄夫婦も手に負えないということで、町内の精神科の病院に入院させてしまいました。

この入院については、私もやむを得ないことと承諾したのですが、その後聞こえてきた話では、兄夫婦のほうで母の預貯金の通帳と印鑑を預って、自由に預貯金を引き出し、それを自分たちの旅行などの費用に使っているというのです。

私は、札幌で就職しているため、母の世話をすることもできませんが、母がこれまで貯めた預貯金や、年金のほか父から遺産として受け継いだ預金などもこのまま兄夫婦の好き放題に使われてしまうのではないかと心配です。兄夫婦のこのようなことを防ぐ良い方法はないでしょうか。

まずは、そのお兄さん夫婦がお母さんの預貯金を勝手に使っているのかどうかという事実関係を確認してみることが先決だと思いますが、その事実が間違いないということになれば、やはりお兄さんに対してそのようなことを改めるように説得するのが第一でしょう。

ただ、説得に応じない場合には、やはり法的手段に訴えてでもお母さんの財産を守ってあげる必要が出てくると思います。

お母さんの精神状態がどの程度のものかは、ご質問だけからは分かりませんが、平成12年4月から、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある」場合には、成年後見人の選任を求めることができるようになりましたので、その方法をとってみてはいかがでしょうか。

これまでは、後見人の選任は、未成年や禁治産の宣告を受けた場合になされていましたが、禁治産は「心神喪失の常況」にあるという要件だったために、なかなか宣告がなされないという問題がありました。それが、成年後見の場合には要件が緩和されましたので、お母さんの場合も成年後見が開始される可能性は高いと思います。

申立手続の詳細については、お母さんが入院されている病院に依頼して申立に必要な診断書を書いてもらい、その他関係書類を添えて家庭裁判所に申し立てることになりますが、申立書の作成や資料の整理など専門的な知識も必要となりますので、実際の手続は精神状態に関する具体的な事情を確認した上で弁護士にご相談していただくことをお勧めします。

成年後見人が選任されると、その成年後見人がお母さんの預貯金を管理することになり、お兄さん夫婦から預金通帳等の引渡しを求めることになりますので、その後はお兄さん夫婦の勝手にはできなくなります。

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自分のボケた後の財産管理が不安です

成年後見の相談に関連して質問します。
近い将来自分が痴呆状態になることが予測される場合、自ら成年後見の申立はできるのでしょうか。また、その条件などがあれば教えてください。

誰しも自分の資産が将来他人の勝手にされないように、自らの意思でその保全措置を講じておければ良いのにと考えると思います。ご質問の趣旨も、将来自分の財産関係について、他人に勝手にされるのは嫌だし、成年後見人となる人がどのような人か分からないでその人に自分の財産を託すということに不安をお感じになっての質問と思います。

まず、自らに関して、将来の成年後見人選任の申立を、正常な状態の今の時点でできるかという問題ですが、現在の法律ではそのような申立を認めることはできないということになっています。

しかし、ご質問のようにお考えになるのはもっともなことですから、公正証書によって「任意後見契約」という契約を結べば、その契約によって「任意後見人受任者」となった人に、将来自分の判断能力が不十分となったときの後見を委ねることができるということが、「任意後見契約に関する法律」で定められています。

この契約締結の要件は、「公正証書」によって、将来判断能力が不十分になったときの療養看護、財産管理等の事務を委託する旨の任意後見契約を任意後見人受任者との間で締結しなければならないということです。

ただ、任意後見人は、公正証書で契約をしておけばそれだけで良いというのではなく、実際に後見を開始しなければならない状態になったときに、家庭裁判所に申立をして「任意後見監督人」を選任してもらわなければなりません。この「任意後見監督人」が選任されてはじめて、「任意後見人受任者」は「任意後見人」となり本人の代理行為をできることになります。

この任意後見契約を締結しておけば、自分の将来を託する「後見人」を自らの意思で選ぶことができますし、家庭裁判所が選任した「任意後見監督人」が「任意後見人」の職務を監督してくれますので、「被後見人」の財産を私的に流用するという不正の心配もなくなります。従って、将来自分の判断能力に問題が生じるのではないかとお考えの場合には、この「任意後見契約」を結ばれるのが良いと思います。

親族などの中に「任意後見人」を引き受けてもらえる当てがない場合には、弁護士に「任意後見人」を依頼することも可能です。その点も含め、手続の詳細については、弁護士に相談してみてください。

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妊娠中に離婚したときの再婚は?

28歳女性です。
先日まである男性と結婚していましたが、うまくいかずに別れました。

一年ほど前から別の男性とのつき合いが続いており、彼と結婚しようと思っています。ただ、現在妊娠中で、来月にも出産の予定があり、さらに子供はどちらの子なのかはっきりしていません。彼はそれでもいいと言ってくれていますし、出産後は心細いので一刻も早く結婚したいのですが、たしか離婚後半年は再婚できないというような法律があったと思います。こういう場合も、やはり6か月待たないといけないのでしょうか。

民法第733条第1項は「女は、前婚の解消又は取り消しの日から六箇月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。」と規定しています。この再婚禁止期間が定められている目的は、婚姻解消直後に再婚をして、すぐに女性が妊娠・出産した場合にその生まれた子供の父親を推定することが困難になるからです。

父親の推定については、民法第772条第1項で「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。」という規定があり、同条第2項では「婚姻成立の日から二百日後若しくは取消の日から三百日以内に生まれた子は婚姻中に懐胎したものと推定する。」と規定しています。この規定の趣旨は、婚姻届を提出した日から200日後以降婚姻解消の日から300日までの間に生まれた子は婚姻中の夫の子であると推定するということですが、女子の再婚禁止期間はこの父親の推定の規定と関連がある規定です。この規定については、父親が誰か分からない子が生まれてくることが子供の福祉にとって不利益を与えることが予想されるために、あえて女性にのみ再婚禁止を定めたものです。

しかし、離婚の時点で既に妊娠しており、離婚後300日以内に出産した場合には、その子は前述の民法第722条第1項によって婚姻中の夫の子と推定されるため、再婚を禁止する理由がなくなるので、民法第733条第2項は「女が前婚の解消又は取消の前から懐胎していた場合には、その出産の日から前項の規定を適用しない。」として、婚姻解消後に出産すれば、再婚禁止の適用外となることを定めています。

ご質問では離婚後どのくらいの期間が経っているのかは分かりませんが、上記のように6か月以内であっても、現在妊娠中のお子さんを出産すれば再婚禁止期間は解除されることになります。(実際には子の出生届によって再婚禁止期間が解除されることになります。)

ただ、その子が離婚後300日以内に生まれた場合には、別れた夫の子供と推定されますから、前夫の方で子供の出産の事実を知ったときから1年以内に嫡出否認の訴訟を提起しない限りその子は前夫との間の嫡出子ということになります。逆に、現在交際中の男性の子供であることを法的に確定させるためには、前夫との間に親子関係不存在確認の訴訟を提起して親子関係を否定したうえで、交際中の男性がお子さんを認知するか、あるいは出生届未了のままで親子関係不存在の裁判を受けて、実父の子として出生届をするという手続きをとるという方法が必要となります。

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5年間行方不明の夫と離婚する方法は?

38歳主婦です。
夫が5年前に家を出たきり、今日までゆくえが分かりません。

以前から放浪癖があり、出る時も「半年で戻る」と言っていたので気にはしていなかったのですが、これほど間があいたのは初めてです。

昨年から警察にも相談しているのですが、まったく消息がつかめません。以前から親しくして戴いている男性との再婚を考えており、戻らない夫とまだ離婚していないので困っています。

もしかしたらひょっこり戻ってくる可能性もありますが、私に復縁(?)の気持ちはありません。

どうすれば再婚に持っていけるでしょうか。

再婚をするためには、前提として現在のご主人との婚姻関係を終了させる必要があります。ご主人が亡くなっているということであれば、その死亡を届出すれば良いわけですが、死亡が確認できない場合にはこの方法は取れません。

次にご主人の最後の生存を確認してから7年間生死が分からない場合であれば家庭裁判所に失踪宣告を求めることによって、7年間経過のときに死亡したとみなされますから、この方法が取れれば死亡した場合と同様再婚は可能になりますが、ご質問の場合はまだ5年ということですからこれも無理ということになります。

それではどうするかということですが、ご主人を被告として離婚の裁判を起こすことによって離婚を成立させることができますので、この方法を採ることによって再婚への途は開けるでしょう。

離婚の裁判をする場合には、通常被告となる相手方の住所地を特定して被告の住所地を管轄する家庭裁判所に調停の申立をし、調停がまとまらない場合に始めて裁判を起こすことになるのですが、ご質問の場合にはご主人が調停に出てこないことは明らかですから、調停を経ずにいきなり家庭裁判所に離婚の裁判を起こすことが可能になります。

この場合、被告となるご主人の所在が分からなければどうしたら良いか分からないかもしれませんが、ご主人が最後の住所地に居なく、現在の所在も分からない場合には、法律上被告に書類が送達したとみなされる公示送達の方法によって訴状が被告に届いたとみなしてもらうことができますので、この方法によって離婚の裁判を進めてもらうことができます。

そして、離婚の裁判で離婚を認めてもらう場合には、民法770条に定められた離婚理由がなければなりませんが、ここには「配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。」(1項3号)という規定がありますから、まさにこの場合に該当するということで離婚が認められることになります。

離婚の裁判が確定したら、その判決を市役所に持って行って離婚の届出をすることができますので、再婚も可能になります。

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