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法律コラム

裁判例から学ぶ知財戦略(2)商品形態の模倣(1)

2011年06月21日

弁護士 野﨑 正隆

<裁判例から学ぶ知財戦略>

弁護士の野崎です。
第1回目の「裁判例から学ぶ知財戦略」では、「西松屋事件」を取り上げました。この事件では「商品陳列デザイン」の模倣が問題となったのですが、このような商品形態の模倣への対処は、以前ご紹介した「知的人材スキル」の中でも、重要なスキルに挙げられています。
http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/ipss/

そこで、今後、数回に分けて、「商品形態の模倣」への基本的な対処方法・関連する知的財産法の基礎知識を説明していきたいと思います。

事例:家具メーカーであるA社は、照明・目隠し・移動付きのキャスターが付属し、使用する児童の年齢に応じて高さが可変する学習机を販売しているが、最近、B社は、この学習机とデザインの似通った形態の商品を販売し始めました。A社はどのような措置を講じられるでしょうか。

不正競争防止法2条4項では、「『商品の形態』とは、需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することが出来る商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感をいう」と規定しています。
上記の事例では「高さが可変する」等、商品の機構や技術といった側面も問題となり得ますが、ここでは、このような商品の「外観」に着目し、知的財産保護が受けられないかを考えてみたいと思います。

1. まず、関連する知的財産法は、次のようなものが挙げられます。

  • 意匠法
  • 不正競争防止法(2条1項1号~3号)
  • 特許法
  • 実用新案法
  • 商標法(立体商標)

なお、植物の新品種の花等を保護する「種苗法」、半導体集積回路のレイアウトを商品形態の一つと考えるなら「半導体集積回路の回路配置に関する法律」などの法令も商品形態に関する知的財産法ですが、前記事例とは関わりがなく、説明からは割愛します。

2. 事実関係の確認

  1. A社が取りうる措置を検討する上で、重要な作業の一つとして、まず、B社の製品を実際に入手して、形態の詳細をA社の製品と比較する、という作業が挙げられます。
    写真等の印刷物を見て受ける印象と、実際に見た場合の印象が異なることは珍しくなく、可能な限り現物を入手すべきです。
  2. 次に確認しておかなければならないのは、A社製品の開発の経緯(創作の経緯)、デザインを公表した時期及び商品として販売し始めた時期の把握です。他方、B社の製品についても、そのデザインの公表及び商品として販売し始めた時期を調査する必要があります。
    当該商品のデザイン作成から商品化まで全て自社で行っていた場合は良いのですが、例えば、海外メーカーの商品を日本で独占的に販売する権利をA社が取得しており、A社がデザインの制作には関わっていない場合等には、商品デザインに関する権利の帰属が問題となり得ます。また、A社製品よりB社製品の販売が後であっても、B社の方が開発中の新モデルとしてA社よりいち早くデザインを公表しているような場合も考えられます。
    すなわち、A社の製品のデザインは誰が創作したのか、それに関する権限はどうなっているのか、商品デザインの創作及び発表という面でA社・B社の先後関係はどうなっているのか、という点をできる限り把握しておく必要があるのです。

次回は、A社のデザインは自社開発であり、B社製品のデザインの公表、製品の発表・販売は、A社のそれより半年以上経過していることを前提に、知的財産法令の具体的活用を検討していきます。

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