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法律コラム

事業者の掟(1) - 請法(下請代金の支払遅延)

2011年05月23日

弁護士 仲世古善樹

会社であれ個人事業主であれ、事業活動を行うなかで守らなければならない法令は沢山あり、その知識を得て法令を遵守した事業活動を行うことは、事業を継続するためにとても大切です。また、取引先等との間で様々な契約を締結するときには、将来のリスクを最小限にとどめるために、必要な法的知識をもって臨むことが望ましいといえます。

いずれも、単に、自分の事業を衰退から守るという消極的な意義を持つだけでなく、むしろ、今後の成長のための確かな基盤となるという積極的な意義があることが重要です。

そこで、頭の片隅に置いておいていただけると良いのではないかと思う法令やポイントなどを取り上げていきたいと思います。

今回は、最近、私が実際に見た契約書において複数の同じ問題があったので、下請法における下請代金の支払遅延に対する規制について述べます。

下請法とは、正式名称を「下請代金支払遅延等防止法」といい、ある事業者(親事業者)の下請事業者に対する優越的な地位を濫用した不当な行為を取り締まるために制定された法律です。

下請法は、あらゆる下請取引に適用される訳ではありません。親事業者とその下請事業者との間の取引に下請法が適用されるか否かは、(1)両者の資本金の額と(2)取引内容によって決まります。たとえば、ある物品の製造や修理、運送を委託する取引であれば、資本金3億1円以上の会社が資本金3億円以下の会社や個人事業主に外注する場合、または、資本金1千万1円以上3億円以下の会社が資本金1千万円以下の会社や個人事業主に外注する場合に、下請法が適用されます。

下請代金の支払時期に関し、下請法では、取引の目的である物品等を受け取った日から60日以内(運用で「2カ月以内」と読み替えることが許されます。)に定めた支払期日までに下請代金を支払わないとだめだと規定されています。「受領後60日ルール」です。ここで注意しなければならないのは、「受領日」から日数計算が始まっている点です。契約書において、「毎月20日締め、翌月末日支払い」となっている場合を例に考えてみましょう。

たとえば、平成23年5月20日締めるとき、納品が4月27日と5月10日の2回あったとします。契約書に従えば、下請代金の支払いは6月30日ですが、この支払日は、5月10日の納品からは60日以内ですが、4月27日の納品からは60日を超えてしまいます。したがって、4月27日納品分の支払いは、下請法違反となってしまうのです。たとえ下請事業者と合意しても、また、親事業者に違法性の意識がなくても、です。

さらに、納品された物品等の検査が済んでいないことや下請事業者から請求書の提出が遅れたことは支払を引き延ばす理由になりませんし、支払日が金融機関の休業日にあたったときに下請事業者の同意を得ずに翌営業日に支払いを延ばすことも禁止されます。ただし、金融機関の休業日による順延は、順延期間が2日以内で、かつ、あらかじめ書面で合意している場合にだけ許されます。

「受領後60日ルール」に違反した場合、親事業者は、受領後60日を経過した日から実際に下請代金を支払う日までの期間につき年14.6%の割合による遅延利息を下請事業者に支払う義務があります。

親事業者にあたる会社も下請事業者にあたる方も、今一度、お手元の契約書や取引内容を確認してみてください。

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