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法律コラム

介護新聞・さらに一言(第5回)

2010年07月22日

弁護士 石川 和弘
弁護士 福田 直之

介護新聞の連載の第5回の記事においてご紹介した裁判例は、「控訴審で和解」をして終了しました。

裁判といえば、裁判官による判決で解決するのがほとんどとお考えかもしれませんが、むしろ、裁判は和解、つまりは、裁判上の話合いで解決することの方が多いかと思います。ご紹介した裁判例のように、地方裁判所での第1審判決を経た後に、控訴審で和解をするということも少なくありません。

ではなぜ裁判を行ってまで、和解をするのでしょうか。理由はいくつか考えられます。

まずは、判決になると経済合理性の観点から自分に不利になる可能性がある場合が挙げられます。

裁判とは、裁判上明らかになった証拠関係に基づいて裁判所が事実認定を行う場所でありますので、証拠の状況によって自己に不利な判断がなされる可能性があります。裁判官の発言等から、和解の話合いをしている際に、判決になった場合、裁判官がどのような判決を書くか概ねわかることがあります。そのようなときは、判決になった場合と和解をした場合の経済合理性を比較して考えて、和解で解決をする方が望ましいと判断して和解をすることがあります。

次に、早期解決の観点や社会的影響を考慮する場合が挙げられます。訴訟になったとはいえ、判決となり、場合によっては控訴等となった場合、紛争が更に年単位で長期化する可能性があります。

紛争が長期化することは、時間的にも経済的にもコストがかかることになり、当事者が個人の場合は心理的な負担が、法人の場合は社会的影響等がさらなる二次的問題として発生します。

また、判決に基づいて解決すると、それが他の裁判でも先例的に扱われる可能性もあり、自己に不利な判決が出てしまった場合の社会的影響等が発生することも考えられます。したがって、かかるリスクを考慮して和解をするということもあります。

今回ご紹介した裁判例がどのような理由で和解したかは不明ですが、裁判の場でも話合いによる解決がなされることが多いということは覚えておいてください。

本編はこちら (介護新聞 2010年7月22付)
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