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法律コラム

独占禁止法改正(審判制度の廃止等)について

2010年03月23日

弁護士 野﨑 正隆

独占禁止法違反に基づく行政処分(排除措置命令等)に対する不服申立手続として、現在は公正取引委員会による審判手続が定められています。この制度の見直しのための議論が長年続けられていたのですが、本年3月12日に審判手続を廃止する改正法案の国会提出が閣議決定されたことにより、廃止となることがほぼ確実となりました。

http://www.jftc.go.jp/pressrelease/10.march/10031204.pdf
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/10.march/10031204gaiyo.pdf

独占禁止法(正式名称は、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」といいます)と言われても馴染みのない方が多いかと思いますが、公正で自由な競争を促進し、事業者と(事業者間の競争により利益を享受する)消費者の利益を保護することを目的に制定されている法律です。

この独占禁止法では、①私的独占の禁止、②不当な取引制限(カルテル・入札談合)の禁止、③不公正な取引方法の禁止、④企業結合の規制などを定めています。
例えば、優越した地位にある大規模小売業者が、納入業者に対し押し付け販売をしたり、売場の改装費用を負担させたりすることは、「不公正な取引方法の禁止(優越的地位の濫用)」に該当し、独占禁止法違反となります。
なお、独占禁止法の特別法として、「下請法」(下請代金支払遅延等防止法)が制定されており、下請代金の支払遅延や減額など、下請事業者に対する親事業者の不当な取扱いを規制しています。

公正取引委員会は、調査活動(行政審査、犯則審査)の結果、独占禁止法違反の事実が認められると判断した場合、「注意」「警告」といった法的措置とまではいえない処分の他、一定の行政処分(排除措置命令、課徴金納付命令)を課すことができ、これに対する不服申立方法として用意されているのが「審判」という制度です。
この制度に対しては、当事者に処分を課した行政庁と同一の行政庁が不服審査を担当することや当事者の手続保障が不十分な点等が指摘されていたのですが、これを改め、地方裁判所を第1審の裁判所にする(加えて、専門性確保のため東京地裁の専属管轄とする)、というのが今回の改正法案です。
これまでこの「審判」に更に不服がある場合には、高等裁判所(東京高等裁判所が専属管轄)へ取消訴訟を提起することになっていたのですが、改正法案により、通常の行政処分取消訴訟と同様、地裁からの三審制が保障されることになりました。

また、改正法案では、手続保障の観点から、公正取引委員会の認定した事実を立証する証拠の閲覧・謄写を認めるほか、排除措置命令等における意見聴取手続も整備されることになっています。

このような一連の改正は当事者の権利保護を高めるものですから、歓迎すべきといえるでしょうが、他方、改正案では3人または5人の裁判官による合議体での審理を予定しているため、処分を争う側にも充実した準備が要求されると思われます。

なお、先月、某国会議員が「(独占禁止法等における)優越的地位の濫用の取締を強化する」とtwitter(最近はやりですね)で書き込みした、との情報もあるようですので、規制強化論議がまたもや起きるかもしれません。今後も、独占禁止法の運用・改正状況を注視し適宜お伝えしていきたいと思います。

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