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法律コラム

「改正労働基準法」の概要とそれに対する対応

2010年01月12日

弁護士 仲世古善樹

明けましておめでとうございます。
今年も、当事務所のメルマガをどうぞよろしくお願いいたします。

新年最初のコラムに何を書くか、とても迷いました。「法律コラム」のなので、やはり法律問題を取り上げるべきなのか、しかし、新年最初のコラムなので法律を離れて、何か元気がでるような話題もいいな、など。

私は、自分がお遊び程度ではありましたが長距離系のスポーツを長くやっていた関係で、1月2~3日にかけて開催される箱根駅伝が大好きです。前の年に調整の失敗や前へ前へという気持ちが強すぎて思うように走ることができなかったり、最悪の場合途中棄権になっても、また1年間鍛え直して這い上がってくる選手たちの姿を見て、私も「よし、今年も頑張ろう」という気持ちになれます。・・・でも、箱根駅伝のことを書き始めると筆が止まらなくなりそうなのでこの程度で止めて、法律のお話に戻ります。

平成22年4月1日から改正労働基準法が施行されますので、今回はその概要と対応についてお話いたします。改正点の概要については、以前にも櫛田触れていますが、重要な改正なので、重複する部分もありますが、対応のポイントを加えて再度書かせていただきます。

今回の改正の目的は「長時間労働を抑制し、仕事と生活の調和を図ること」にあると言えるでしょう。具体的な改正の内容として重要なものとしては、①時間外労働の割増賃金率の引き上げ、②割増賃金引き上げの努力義務、③年次有給休暇の時間単位取得、が挙げられます。

まず、①時間外労働の割増賃金率の引き上げですが、1か月に60時間を超える時間外労働を行う場合の割増率が25%から50%に引き上げられます。ただし、この改正については、中小企業に対して当分の間猶予されます(具体的には、施行から3年経過後に検討するとされています。猶予される「中小企業」の基準についても明確に規定されていますので、詳細はお問い合わせください。)。この改正とセットで、割増賃金の支払に代えた有給の休暇の仕組みが導入されました。これは、労使協定を締結することによって、1か月間に60時間を超える時間外労働を行った労働者に対して、改正法による引上げ分である25%分の割増賃金の支払に代えて、有給の休暇を付与することができるというものです。

次に、②割増賃金引上げなどの努力義務が、企業規模にかかわらず、労使に課されます。「時間外労働の限度基準」(平成10年労働省告示第154号:限度基準告示)により、1か月に45時間を超えて時間外労働を行う場合には、あらかじめ労使で特別条項付きの時間外労働協定を締結する必要がありますが、改正によって新たに、
[1] 特別条項付きの時間外労働協定では、月45時間を超える時間外労働に対する割増賃金率も定めること
[2] [1]の率は法定割増賃金率(25%)を超える率とするように努めること
[3] 月45時間を超える時間外労働をできる限り短くするように努めること
が必要になります。

最後に③年次有給休暇の時間単位取得ですが、現行では年次有給休暇は日単位で取得することとされていますが、事業場で労使協定を締結すれば、1年に5日分を限度として時間単位で取得できるようになります。これは、企業規模にかかわらず適用されます。

年次有給休暇を日単位で取得するか、時間単位で取得するかは、労働者が自由に選択することができますし、パートタイム労働者の方なども、事業場で労使協定を締結すれば、時間単位で取得が可能となります。一方、労働者が日単位で取得することを希望した場合に、使用者が時間単位に変更することはできません。

以上、改正の概要を述べさせていただきましたが、この改正により就業規則や賃金・勤務日数等の労務管理システム、さらには業務遂行の体制そのものまでを見直す必要がでてくることが予想されますので、早目に準備することが肝要でしょう。特に労務管理については、時間単位での有給取得が決まった場合にはトータル40時間(8時間×5日)を1時間単位で取得することも予想されますし、45時間時間を超える部分の割増率を上げることになった場合には月間の総労働時間の管理が重要になりますので、業務が圧迫される可能性があります。また、一定時間を超える部分の割増率が上昇することから、業務全体を社員間でできるだけ平準化することが重要になるでしょう。

さらに、上記①の改正点を猶予される中小企業においても、「将来適用される」という心積もりで現在の経営体制を見直すなどするかどうかで、適用されるときに慌てなくて済むことになるかと思います。

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