管理監督者の深夜割増賃金
2009年12月22日
12月18日、最高裁判所が「管理監督者に該当する労働者は同項(※ 労働基準法37条3項、現在の同4項のことを指しています。)に基づく深夜割増賃金を請求することができる」との判断を示しました。
労働基準法41条2号により、「監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者)は労働基準法の労働時間等に関する規定の適用除外とされているため、管理監督者にあたれば、その労働が時間外に及んだとしても、時間外手当を支給する必要がないとされていますが、労働基準法上、どのような立場にある者が「管理監督者」であるのかは規定されていないため、「管理監督者」をめぐる労働関係には以前から争いがありました。
厚生労働省(旧労働省)の通達によれば、「管理監督者」とは、「一般的には、部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきもの」とされており、裁判例は、①事業主の経営に関する決定に参画し、労務管理に関する指揮監督権限を認められていること、②自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有していること、③一般の従業員に比しその地位と権限にふさわしい賃金上の処遇を与えられていることなどを管理監督者該当性の判断基準としています。
「管理監督者」というと、以前に、とあるハンバーガーチェーン店の店長が「管理監督者」にあたるかが争われたことをご記憶の方も多いと思います。
これは、管理監督者であるという理由で会社から時間外手当が支払われていなかったハンバーガーチェーン店の店長が会社に対して時間外手当の支払いを求めた事案ですが、東京地方裁判所は、上記①から③とほぼ同様の基準に照らし、店長はいずれの基準をも満たしていなかったとして、店長の時間外手当の請求を認めました。
この事案は、そもそも従業員が「管理監督者」にあたるか否かが争われたケースでした。
さて、今回の最高裁判例は、管理監督者に該当するとしても、深夜割増賃金を支払わなければならないというものです。
先ほど述べたとおり、「管理監督者」に対しては、労働基準法の労働時間等に関する規定の適用除外とされているのですが、ここでいう「労働時間等に関する規定」には深夜の割増賃金は含まれないというのがこれまでの通説的見解でした。
つまり、労働基準法上、適用除外の対象となるのは「労働時間、休憩及び休日に関する規定」だけであり、深夜の割増賃金については適用除外の対象とはされていないという考えです。
今回の最高裁判例は、結論的には通説的見解を踏襲するものでした。そして、深夜割増賃金が適用除外の対象とならない理由として、深夜の割増賃金の規定は、労働が深夜帯に行われることに着目している点で労働時間に関する他の労基法中の規定とはその趣旨目的を異にすること、労基法中の年少者に係る深夜業の規制に関する規定もこれを前提としていることを挙げました。
これまで、会社側は、ある従業員を「管理監督者である」として、時間外労働を考慮しないで給与計算をしてきたケースが多々あったようです。その場合に管理監督者にあたるか否かが争われることは前述のとおりですが、今回の最高裁判例により、仮に管理監督者であったとしても、深夜の割増賃金は支払わなければならないことが明確になりました。
そのため、結論としては、「管理監督者」であろうがなかろうが、会社側は従業員に対し、深夜の割増賃金を支払う必要があるということになります。
なお、今回の最高裁判例は、「もっとも、管理監督者に該当する労働者の所定賃金が労働協約、就業規則その他によって一定額の深夜割増賃金を含める趣旨で定められていることが明らかな場合には、その額の限度では当該労働者が深夜割増賃金の支払を受けることを認める必要はない」として、この点を審理させるために事件を東京高等裁判所に差し戻しています。










