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紛争処理委員実務研修に参加して~最新の住宅判例の紹介~

2009年11月10日

弁護士 野﨑 正隆

今月5日に札幌で行われた(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター主催の平成21年度紛争処理委員実務研修に参加してきました。

これまではなかなか日程の都合が合わなくて参加できず追って資料を頂くだけでしたが、今年度から札幌弁護士会の住宅紛争処理委員に選任されたこともあり、今後はできるだけ参加したいと考えています。

さて、当日は、①国土交通省住宅局住宅生産課課長補佐の伊藤昌弘氏による「住宅瑕疵担保履行法についての解説」、②第二東京弁護士会所属・犬塚浩弁護士による「最新の住宅に関する判例の解説」が主なテーマでした。

今年10月1日から本格施行された住宅瑕疵担保履行法については、これまで当事務所の法律コラム、勉強会等でご紹介させていただいていますので、今回は割愛し、特に興味深かった判例を紹介したいと思います。

<大阪地判平成15年11月26日>

① 事案の概要
 土地付き中古建物の買主である原告Xが、主位的に売主である被告Y1に対して、本件建物には建物自体の傾斜という隠れた瑕疵があるとして、売買契約の解除による売買代金の返還を、予備的にY1に対して、瑕疵担保ないし不法行為、売主側仲介業者である被告Y2に対して不法行為、買主側仲介業者である被告Y3に対して債務不履行に基づく損害賠償を求めた、という事案

② 判例要旨
 裁判所はまず、原告が建物自体や床の傾斜の有無、原因等につき「仲介業者の意見を聴いたのみでY1に直接確認しなかったことには過失が認められるから、建物自体の傾斜は隠れた瑕疵にはあたらない」として、瑕疵担保に基づく解除を否定しました。

その上で、「本件瑕疵は、原告が本件建物を購入するかどうかを決定する際に重大な要素となるから・・・具体的に正確に告知説明する義務を負っていたにもかかわらずそれを怠った」として、Y1に告知・説明義務違反による不法行為責任を肯定し、Y2については、「建物の床の傾斜については認識していながら建物自体の傾斜の有無等につき事実確認を行わないまま推測で原告に対する説明を行ったことにより原告の認識判断を誤らせた」として同様に告知義務ないし確認義務違反による不法行為を肯定し、Y4についても仲介契約上の注意義務違反による債務不履行責任を肯定しました。

瑕疵担保責任(民法570条、566条)を問うためには、「隠れた瑕疵」であること、すなわち、①一般人が通常の注意を払っても知り得ない瑕疵であり、かつ、②買主が善意(=知らない)・無過失(=知らないことについて過失がない)であることが必要になります。

裁判所は過失の認定にあたり、売主側仲介業者が存在する場合でも売主への確認を要求しており、この点、建物売買の買主が注意しておかなければならないポイントになりそうです。

また、この事件で原告側は慰謝料も請求していましたが、裁判所は「財産的損害の賠償がなされることによりなお償い切れない特段の事情はない」として請求を排斥しています。この点、欠陥住宅訴訟で慰謝料を認めるか否かについて統一的な基準はなく、修補に至る前の状況、修補に伴い生活の支障を考慮して、事案ごとに評価しているのが現状です。

その他、参考になる判例が数多く紹介されていましたが、「建築確認申請添付図面と異なる施工は、建築関係法規の規制を更に有利に上回る結果をもたらしているなどの特段の事情がない限り、瑕疵に当たると言うべきである」と判示した東京地裁平成20年3月26日判決が印象に残りました。近時裁判所は、建築基準法や施行令、公庫基準に反する施工でも、「実質的な危険性がない」等として、瑕疵の認定を狭める傾向にあり、上記判決はこのような傾向に抵抗していく一つの指針になるのではないかと思います。

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