都市再生事業の法律的側面
2009年10月26日
いま、札幌市中心部では、札幌駅と大通駅をつなぐ地下通路や創成川アンダーパスの工事など、大掛かりな工事が進行中です。これらの工事は、どのような仕組みで進められているのでしょうか。今回は、これらの工事を法律的な側面から見てみたいと思います。
内閣官房地域活性化統合事務局内に、都市再生本部が設けられています。ここは、平成13年4月6日の「緊急経済対策」(経済対策閣僚会議)において、環境、防災、国際化等の観点から都市の再生を目指す21世紀型都市再生プロジェクトの推進や土地の有効利用等都市の再生に関する施策を総合的かつ強力に推進するため、内閣総理大臣を本部長、関係大臣を本部員として、同年5月8日「都市再生本部の設置について」(閣議決定)に基づき、都市の再生に関する施策を総合的かつ強力に推進するため、内閣に設置されました。その後、平成14年6月1日に都市再生特別措置法が施行され、都市再生本部は法に基づく組織へ移行しています。都市再生本部は、都市再生基本方針の案の作成や都市再生基本方針の実施の推進、都市再生緊急整備地域ごとの地域整備方針の作成及びその実施の推進等を行います(都市再生本部ホームページより)。
都市再生特別措置法に基づき都市再生緊急整備地域が指定されると、当該地域内の都市開発事業であって、当該都市再生緊急整備地域の地域整備方針に定められた都市機能の増進を主たる目的とものを施行しようとする民間事業者等は、国土交通省令で定めるところにより、当該都市再生事業に関する計画を作成し、国土交通大臣の認定を申請することができます。この認定を受けると、当該事業の実施にあたり政府から金融支援等を受けることができます。
現在、札幌市内では、札幌駅・大通駅周辺地域の163haと、札幌北四条東六丁目周辺地域の125haが都市再生緊急整備地域に指定されており、これまで札幌エルプラザ(北8条西3丁目)や紀伊国屋書店等が入っている北5条西5丁目の商業ビル等が、この法律に基づく支援のもとに完成しました。現在、その他のプロジェクトが進行中です。
都市再生緊急整備地域に指定され、都市再生計画が認可されると、当該地域内に土地所有権を有する人や土地賃借権を有する人、当該地域内の建物を賃借している人等に大きな影響を与えます。具体的には、原則として、従来有していた権利が、新たに建設される建物の床の所有権や建物敷地に対する共有持分権、あるいは、新建物に対する賃借権等に置き換えられます。そのため、当該対象者には様々な権利保護のための手続や当該プロジェクトに参加し意見を述べる機会が保障されていますが、それまで有していた権利に大きな変更が生じますし、かかる機会で権利を行使するだけでも、権利者にとっては大きな負担になることは否めないでしょう。その意味で、都市再生緊急整備地域内で具体的なプロジェクトが進行中である場合、当該プロジェクト対象地域内の不動産の賃貸借契約等においては、当該プロジェクトの進行状況や今後の権利変換の予定、見通し等、契約時点で明確になっている事項につき、十分な説明を行っておくことが必要となります。都市再生緊急整備地域に指定されただけで、 この説明が必要になるかと言えば意見の分かれるところであると思われますが、長期の賃貸借契約を締結する場合には、将来の紛争を予防するためには、地域指定の事実等について説明しておくことが無難と言えるでしょう。










