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法律コラム

ドロップシッピングに注意(その2)

2009年08月24日

弁護士 下川原慎吾

1.前回のまとめ

「ドロップシッピング」とは、インターネット上における商品の広告・販売の一形態であり、ウェブサイトの閲覧者が商品購入の申込みをした場合、販売したウェブサイトの提供者(ドロップシッパー)ではなく、製造元や卸元(ベンダー)が直接商品発送を行うという取引方法をいいます。

前回は、「ドロップシッピング」の基本的な仕組みと「ドロップシッピング」に関する近時の苦情・相談の増加について簡単に解説しました(平成21年5月11日発行、第103号参照)。

2.今回のテーマ

そこで今回は販売したウェブサイトの提供者(ドロップシッパー)に対して、どのような法的問題があるかを考えてみたいと思います。ドロップシッパーは、自分の管理するウェブサイトで商品広告をして、閲覧者からの商品購入の申込みに応じて商品を販売するため、売買契約の当事者(売主)としての責任を負うのが原則です。従って、ドロップシッパーに対しては、①誇大広告に関する各種法的規制の適用、②売主としての法的責任、③特定商取引法の表示義務の問題があります。

3.誇大広告に関する各種法的規制

ドロップシッパーは、売買契約の当事者(売主)となる以上、誇大広告に関する各種法的規制を受けます。誇大広告を規制する法律としては、「不当景品類及び不当表示防止法」(景表法)、「薬事法」、「食品衛生法」等があります。例えば、景表法では「自己の供給する商品又は役務の取引」につき「商品又は役務の品質、規格、その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると」「表示してはならない。」と規定しています(第4条第1項第1号)。なお後記のとおり、ドロップシッパーが特定商取引法で定める「通信販売事業者」(同法第11条)に該当することになれば、特定商取引法上の誇大広告に関する規制(同法第13条)も受けます。

4.売主としての法的責任

全国の消費者センターや一部弁護士会において「ドロップシッピングの場合は、売主として取り扱う商品の責任を負わなければなりません。」と注意を喚起しています。具体的には、ウェブサイトを見て商品購入を申し込んだ消費者との間に売買契約が成立すれば、商品を消費者に対して給付する債務(義務)が発生することは当然のこと、消費者に対して給付した商品が不良品だった場合、債務不履行責任や瑕疵担保(かしたんぽ)責任が問題となります。さらに、消費者が売買契約を解除した場合、原状回復義務として既に支払われた代金の返金義務も生じるでしょう。

もっとも、この点に関しては、ドロップシッパーとドロップシッピング・サービス・プロバイダ(以下「DSP」と言います。)間の契約においてDSPが商品の販売に関する法的責任を負うと規定されている場合、①ドロップシッパーは、売主としての責任を一切負わないのか、②DSPが破産や事実上の廃業となった場合の法的責任は誰が負うのかという問題点があり、統一的な見解の一致をみていないようです(ドロップシッパーを事業者寄りに捉えるのか、一般消費者のリスクを誰に負わせるのかという考え方によるでしょう。)。

しかし、ウェブサイトを閲覧して商品購入を申込んだ一般消費者の保護の見地から考えると、ドロップシッパーにも何らかの責任が発生する可能性(リスク)があると考えておいて良いでしょう。

5.特定商取引法の表示義務

特定商取引法の表示義務に関して、DSPが同条に基づく表示をすれば足り、ドロップシッパーの情報を表示する必要はないかどうか問題となります。この点に関しても、現時点で公式的見解が出ていないようです。仮に、ドロップシッパーが特定商取引法で定める「通信販売事業者」(特定商取引法第11条)に該当することになれば、氏名、住所、電話番号などの個人情報をサイト内に表示することが義務づけられることになります。そして特定商取引法の表示義務が、ドロップシッパーに課せられれば、「手軽に収入が得られる簡単な副業」というドロップシッピングの謳い文句とは実質的にかけ離れることになるでしょう。

6.まとめ

ドロップシッピングについて、以下の点に注意する必要があるでしょう。第1に、第103号の繰り返しになりますが、簡単に高収入が得られると謳って、高額な初期費用(HP制作料として請求される場合が多い)を要求する業者には注意が必要です(ドロップシッピングを取り扱う業者の全てが悪徳業者ではありませんが)。第2に、今回解説したように、ドロップシッパーとしての法的なリスクについて事前に説明を受け、十分に検討しておく必要があります。

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