著作権法改正と今後の課題
2009年08月05日
以前のメルマガ(平成20年1月25日発行・第73号)で「ダウンロードが違法になる?」と題し、著作権法改正の議論状況をお伝えしたことがありましたが、本年6月12日、ダウンロード違法化の措置を盛り込んだ改正著作権法が参議院本会議で可決・成立し、来年1月1日より施行されることとなりました。
この違法化は刑事罰がなく、録音・録画の著作物のみが保護の対象となっていることから、行為規制として実効性がないともいえるのですが、これまで違法化に反対する多くのパブリックコメントが寄せられていたのは、著作権侵害に対する萎縮効果が懸念されたからであり、このような声を無視する形で改正が進められたのは残念と言わざるを得ません。
なお、改正法ではこのように権利保護を拡張する一方、インターネット等を利用した著作物の利用の円滑化を図るため、①ストリーミング配信におけるキャッシュや、検索エンジンが行うコンテンツの複製などについて、必要と認められる限度においては、権利者の許諾を必要としないことを明文化し、また、②裁定制度(著作物の利用には、著作権者の許諾が必要ですが、著作権者が不明の場合には文化庁長官の「裁定」を受け、「補償金の供託」を行うことにより、文化庁長官が著作権者に代わり許諾を与えることで適法にその著作物の利用ができる制度)の適用対象を著作隣接権にも拡大し、過去のテレビ番組等を更に活用できるよう配慮しています。
(参考記事)
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/06/12/23773.html
(改正法の概要等)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/171/1251917.htm
今後の著作権法改正論議で注目されるのは、上記の改正法可決後に政府より発表された「知的財産推進計画2009」でも触れられていますが、「日本版フェアユース」の導入でしょうか。
(知的財産推進計画2009)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/090624/2009keikaku.pdf
この「フェアユース」とは、アメリカ著作権法等で認められている、著作権侵害に対する抗弁の一つで、著作物(作品等)の使用が「フェアユース(公正・公平な使用)」に該当すると認められれば、著作権者の許諾がない使用であっても、著作権侵害にあたらない、という法理です。
批評、解説、ニュース報道、教授(教室での利用のための複数のコピー作成行為を含む)、研究、調査等を目的とする」場合等と、抽象的に要件が定められるところに特色があります。
日本の著作権法は、私的使用のための複製(著作権法第30条)等、個別具体的に著作権侵害に該当しない類型を定めているのですが、これでは科学技術の進歩が著しい現代社会に対応できないとして、抽象的に要件を定められないかが検討されているわけです。
ただ、どのような使用がフェアユースと認められるべきなのか、議論を尽くし、ある程度国民のコンセンサスを得ておくことは不可欠といえます。
この点、著作物の利用促進を主眼として活動している非営利団体の「クリエイティブコモンズ」が、集計結果を文化庁に提出することを前提に、一般の方からのアンケートを募集しはじめており、注目を集めています。
http://creativecommons.jp/news/2009/07/19/post_57.php
著作権利用というと、一部の人に限った話しと思われるかもしれませんが、インターネットやデジタル技術が発展し、自分の作成した表現物を容易に外部に公表できる時代ですから、自分で撮影した画像を自分のブログにアップする、といった行為一つを取っても、著作権と無関係ではいられません。
政府の知的財産戦略本部は、このフェアユースについて今年度中にある程度の目星をつけたいという意向があるようですので、今後も注目していきたいと思います。










