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法律コラム

施設における紛争増加の背景

2009年06月23日

弁護士 福田 直之

最近、介護事故に関して、勉強会や講演会をさせていただく機会が多くなり、案件としても、施設内での介護事故に伴う相談、交渉、訴訟等をいくつか取り扱っています。

施設内での介護事故は、転倒事故と誤嚥事故の2種類が圧倒的に多く、個人的感覚としてはその相談件数も増加傾向になっていると思います。

増加傾向の理由としては、高齢者の絶対数が増えたということもあるかと思いますが、平成12年4月の介護保険法が施行されたことに伴い、介護サービスが「措置」から「契約」になったことから、施設側の契約上の責任追及が法的に可能になり、権利の主張をする機運が高まったことにも要因があると思います。

以前は、介護サービスは行政からの「措置」であり、各施設と利用者との間での直接契約はなされておらず、介護事故が発生しても、利用者側は、施設側に対して契約上の責任を追及することはできませんでした。

事故にあい損害を被った利用者側が施設側に対して責任を追及するには、「不法行為に基づく損害賠償請求」をすることは可能でしたが、請求の要件である施設側の故意、過失がどのような点にあったのかなど、立証することの困難性が大きく、また、利用者側も、「お世話してもらっている身だから」ということで、声を出さなかったということもあり、訴訟等の紛争に至ったケースは極めて少なかったようです。

介護事故における裁判例の分析も行っておりますが、やはり、そのほとんどが平成12年以降のものであります。

「措置」から「契約」になったことで、今まで顕在化しなかった介護事故が顕在化することになり、利用者側も声をあげて権利の主張をすることができるようになりました。

その一方で、施設側は、介護契約上の義務、いわゆる「安全配慮義務」を課せられることになり、様々な法的な問題に直面することになりました。

介護契約における「安全配慮義務」とは、一義的に定義付けすることはできず、施設の種類、施設側で認識している利用者の状況、現実の利用者の状況等の要素によって決まる可変的なものです。

今後、このコラムでも、介護契約上の「安全配慮義務」を中心に、施設側、利用者側それぞれの視点から、法的問題について考えていきたいと思います。

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