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法律コラム

クレームは「宝の山」!?

2009年06月11日

弁護士 田代 耕平

今回は、そもそも「クレーム」とは何なのかについてお話したいと思います。

クレームの定義は多義的ですが、私は、クレームとは顧客や消費者が不満を抱いたときに企業等に対して行う「苦情」であって、かつ、その要求内容または行為態様が異常値を示すものととらえています(「不当要求」ともいいかえられます)。

クレームに関する書籍は本屋に行くと何冊も売られています。

そして、そのほとんどの書籍に「クレームは宝の山である」とか「クレーマーを顧客に変える」と書かれています。

たしかに、クレームは企業に対する苦情であることから第三者の忌憚のない意見を聞くことができる貴重な情報源といえるでしょう。

しかし、私の理解する上記の意味でのクレームを前提とするとそのような意見はクレームに含まれません。これは単に私が前提とする「クレーム」と一般的な書籍の「クレーム」の定義が異なるからです。

弁護士が対応するクレームは、その要求内容または行為態様が異常値を示すものです。

おそらく、本屋で販売されているクレームに関する書籍は「クレーム」を広く企業に対する意見なども含めて書かれているものだと考えられますし、そうするとそれらには正当な意見や要求も含まれるのですからそのクレームに対して誠実に対応することはもっともなことです。

企業が顧客の正当な意見に対して誠実に対応することによって顧客満足度が高まり、企業の信用が高まるものであると思います。

しかし、私がクレームを論じるときは要求内容の異常性と行為態様の異常性を前提に論じています。

これは、弁護士がクレームに関する相談を受けるときに必ずその要求内容が法的に正当であるか否かという観点で相談を受けるからです。

要求内容が異常であったり、行為態様が異常であるクレーマーは宝の山ではありません。単に、企業の活動を妨害する人物であって顧客にすべき人物ではありません。

では、私が理解するクレームと一般的に言われているクレームをどのように峻別したらよいのでしょうか。

それは、定義からも明らかのように要求内容の異常性と行為の異常性とによって判断されます。

行為態様が異常であるか否かについては、ある程度簡単に判断できます。たとえば、大声を出して怒鳴る人物や毎日何回も電話をかけてくるなどです。行為態様の異常性の判断に関してはメルマガ【No87】で書かせていただいた(1)本題以外の部分の主張を繰り返す。(2)複数の部署に対して電話をする。(3)社長等の代表者と話したがる。(4)長時間の電話(5)言ったことを言っていないと言う。(6)自分の素性をなかなか言わないなどを参考にしてください。

より問題となるのは、要求内容が異常か否かの判断です。要求内容が異常であるとは、法的に正当でない要求または法的に正当であったとしてもその要求内容が過剰である要求をいいます。

そして、もっとも判断に悩まされるのが「法的に正当であったとしてもその要求内容が過剰である場合」です。

しかも、近時のクレーマーは明らかに過剰な要求はしてきません。非常に悩ましい金額を要求してきます。担当者がクレーマーに時間をかけるくらいなら多少過剰ではあるが支払ってしまった方がいいと判断するような金額を要求してきます(よく問題となるのは「慰謝料」です)。

しかし、そのようなクレームに安易に屈してはなりません。そのクレーム処理が次のクレームを発生させるからです。クレーマーは横でつながり情報を共有化しています。

このように私が考えるクレームは宝の山ではありませんし、クレーマーは良い顧客にはなりません。

私が考えるクレームと一般的な書籍に書かれているクレームは異なるものであってその判断は難しいことをご理解ください。

次回は、要求内容に関して「法的に正当でない要求」について法律的な視点から掘り下げてお話したいと思います。

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