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クレーマー対策マニュアル7

2009年03月26日

弁護士 田代耕平

それでは、今回は(4)警備会社・警察へ連絡のタイミング及び方法についてお話しします。

クレーマーの中でも暴力行為に出るものがいます。たとえば、胸倉を掴んできたり、肩を押してきたりするような人物です。

このような、暴行が行われた場合にはただちに警備会社と警察に通報するようにマニュアルで指示してください。

上記暴行は、犯罪(暴行罪、刑法208条)であり警察が対応すべき事件です。

では、机を叩くようなクレーマーや大声でどなり散らすような暴力に至らない行為を行うクレーマーに対して警察は対応してくれないのでしょうか。

皆さんは、上記のように暴力に至らないような事案は民事の交渉の範疇であり、警察は対応してくれないのではないかとお考えかもしれません(民事不介入の原則)。

しかし、民事不介入の原則は、私人間(しじんかん)の民事紛争において公的機関である警察が一方に肩入れして私的に利用されてはならないという趣旨であって、たとえ私人間の民事紛争であってもその手段として犯罪行為が行われた場合には当然警察が対応するのです。

平成12年の民事介入暴力対策全国大会で、当時の警察庁長官の田中節夫氏も「警察が民事不介入の原則を理由に消極的な対応をすることは絶対に許されない」という趣旨の宣言を行っています。

したがって、上記暴力行為に至らないクレーマーに対しても警察は対応してくれるのですから、警察に通報していいのです。

なお、上記の机を叩く行為や大声でどなり散らす行為は、厳密には暴行罪、脅迫罪、威力業務妨害罪等に該当する可能性があります。

したがって、クレーマーが上記のような行為に出た場合には、警察等への通報をすべきなのです。

警察への通報で重要なことは、犯罪行為を行いそうな要注意クレーマーが存在するときはあらかじめ所轄の警察署や交番に相談しておくことです。

警察へ通報して警察官が臨場しても警察官はすぐに状況を把握することができません。そうすると、通報された事件が単に民事事件であるのかそれとも刑事事件若しくはそれに発展しうる事件であるのかの判断ができません。

そこで、あらかじめ所轄の警察署や交番に要注意クレーマーの属性やその主張内容の情報を開示して相談しておくのです。

警察に相談したら警察官は何かあったらすぐに連絡するように言ってくれるはずです。

このように、警察に相談していつでも連絡しても良いと警察に言ってもらうことだけでも担当者に対して強い安堵感を与えます。また、要注意クレーマーが来た時には、既に警察にも相談済みであり当社の結論は変わらないことを伝えることによって、犯罪行為を未然に防ぐような効果も期待できます(必ずしもクレーマーに対して警察に相談したことを伝えるべきであるという趣旨ではありません)。

以上のように警察等への通報のタイミングは、クレーマーが犯罪行為に及んだ時または犯罪行為に及ぶ可能性があるときであるといえます。

次に、警察への通報の方法についてお話します。

この通報の方法は、その場に在席する人数やクレーマーの属性などによってケースバイケースですが、やはりクレーマーに対応している担当者がその場で通報することは避けるべきです。

担当者が通報する動作によってクレーマーが引き下がることも考えられますが、逆にただでさえ興奮しているクレーマーを刺激してしまい危険だからです。

そこで、クレーマーに直接対応していない職員が通報するようにマニュアルに記載すべきです。そのためには、ある程度具体的に通報のタイミングを記載することが必要となってきますし、また、クレーマー情報を共有できる体制づくりが必要となってくるのです(クレーマー情報の共有化の重要性はメルマガNo.96でもお話ししています。)。

以上、クレーマー対策マニュアルについて5回に亘ってお話をさせていただきました。不特定多数の方々の目に触れる媒体であるメルマガという性質や限られた文字数と期間での執筆であったことから読んでいただいている皆様はもどかしさや不十分さを感じることもあったかと思います。

その不十分さを補うためと私自身の考えをまとめるために、近日中に講演会を実施したいと考えています。

日時・場所等が決まり次第このメールマガジンでもご案内させていただこうと考えていますので、お時間のある方はご参加いただければと思います。

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