弁護士一覧 > 法律コラム > 飲酒運転と酒提供者の責任

法律コラム

飲酒運転と酒提供者の責任

2009年01月15日

弁護士 野谷聡子

年末年始、忘年会や新年会で仕事帰りに飲む機会が増えている方も多いと思いますが、最近は、店側も飲酒運転に対してとても厳しくなっていると思いませんか。それもそのはず、去年の6月5日、客が飲酒運転で交通事故を起こしたケースで、初めて酒を提供した側が処罰される判決が下されているのです。

事件は、自分(「Aさん」とします)が経営する飲食店で、客であったXさんに対し、Xさんが酒気を帯びて車両等を運転するおそれがあることを知りながら数時間にわたって焼酎等のお酒を提供し、結果、Xさんが店を出た約1時間後に酒に酔った状態で普通乗用自動車を運転したという事案です。Xさんは、酒に酔った状態で制限速度をはるかに上回る高速で運転し、カーブを曲がりきれずに対向車線に飛び出して対向車両2台に衝突、死者2名、負傷者6名(うち2名はXさんの運転車両の同乗者)を出す大惨事を起こしてしまいました。

Aさんと、Xさんはゴルフ仲間という間柄で、その関係ゆえに飲酒運転をすることが分かっていても酒の提供を断ることができなかったとAさんは弁解しましたが、むしろ友人であれば飲酒運転をしないよう注意喚起できたはずだとして、裁判所はこの弁解を受け入れませんでした。危険運転致死罪の新設など、悪質な交通事案および飲酒運転に対する世間の目が厳しくなっている現在の状況を反映した判決と言えるでしょう。

Aさんは、懲役2年執行猶予5年の有罪判決を受けました。通常、酒を提供する店側と客は、AさんとXさんのような親密な関係ではありませんから、店での飲酒後、その客が交通事故を起こしたからといって、すべてが本件と同様に処分されるとは言えませんが、特に駐車場があるようなお店については、現在の対応で十分と言えるかどうか、検討する必要があるでしょう。

法律コラム一覧

ページトップへ戻る