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法律コラム

変化する刑事裁判 2つの新制度の中で

2008年12月02日

弁護士 仲世古善樹

先週の金曜日(平成20年11月28日)、来年1年間の裁判員候補者の名簿に記載された方に対し、その旨を通知する文書(名簿記載通知)が全国一斉に発送されました。昨日、実際に名簿記載通知を受け取ったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この通知を受け取った方は、来年1年間、実際に起こった事件における裁判員候補者として呼出しを受ける可能性があります。具体的には、裁判員裁判の対象となる事件が起訴されると、各地方裁判所は、その事件の裁判が行われる6週間前までに、裁判員候補者名簿の中から裁判員候補者をくじで選び、裁判員を選ぶ手続き(選任手続)を行う日に地方裁判所に来てもらうためのお知らせ(「呼出状」といいます。もっと気の利いた呼び方はないのでしょうか・・・)を送付します。

そして、選任手続は、裁判の当日に行われます。ですから、裁判員に選任されたら、そのまま公開審理に突入ということになります。

審理の後、3人の裁判官と6人の裁判員は、被告人が有罪か無罪か、有罪とした場合にどのような刑にするかを話し合う(評議)ことになりますが、その評議において、裁判員と裁判官は対等であり、裁判員の意見は、裁判官の意見と同じ重みを持つことになります。そして、評議を尽くしても全員の意見が一致しない場合、多数決により評決します【ただし、裁判員だけによる意見では被告人に不利な判断(例えば、有罪か無罪かの評議の場面で有罪の判断をすること。)はできず、裁判官1人以上が多数意見に賛成していることが必要です。】。

先月、札幌地方裁判所で開かれた模擬裁判(裁判官、検察官、弁護士が、ガチンコでやるものです。)において、興味深い結論がでました。

被告人が有罪か無罪かが争われたのですが、評議の結果、有罪4人、無罪5人で被告人は無罪となりました。が、これを裁判官だけで見てみると、有罪が2人、無罪が1人でした。つまり、従来の裁判官だけの裁判であれば、被告人は有罪になっていた、ということになります。

市民の刑事裁判への参加によって結論が変わり得ることを示した模擬裁判でした。

市民の刑事裁判への参加という点で、裁判員制度ほど大きく報道されていないのですが、昨日、新しい制度がスタートしています。

それは、一定の犯罪の被害者(遺族)が検察官の横に座り、証人や被告人に質問したり、論告(証拠に基づいて、事実認定や法の適用についての意見を述べること。)や求刑(被告人に処せられるべきと考える刑罰が適用されるべく、裁判所に請求すること。)をすることができる「犯罪被害者参加制度」です。

今まで、刑事裁判という場においては当事者として扱われていなかった犯罪被害者が、当事者的な立場に立って刑事裁判に参加することができることになります。

裁判員制度が市民に対して刑事裁判への参加を強制的にお願いする制度であるのに対して、被害者参加制度は、刑事裁判への参加を求める市民に参加を許す制度と言えます。

制度の変化の中、私たち弁護士は、市民にとってより分かり易い、より説得的な弁護活動をするために、一層の努力・研究をしなければなりません。ただ、目指すものは何ら変わらないと思っています。「一人として冤罪で泣く市民を生ませない。」。いかに制度が変化しようとも、これだけは変わりません。

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