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会社の飲み会参加後の災害は労災か

2008年07月28日

弁護士 櫛田 東生

大通公園のビアガーデンも始まり、いよいよビールがおいしくなってきました。

私は季節に関係なくビールが大好きなのですが、夏の夜に飲むビールはやはり特別おいしいものです。職場の上司や部下、同僚とビアガーデンに繰り出すという方も多いのではないでしょうか。

ところで、先日、東京高裁において興味深い判決が出たとの報道がなされました。

まだ判決文が公表されていないため詳細は不明ですが、勤務先で開催された飲酒を伴う会合に出席した後、帰宅途中に地下鉄の階段から転落して死亡したことから遺族が労働基準監督署長に労災の遺族給付等の支給を求めたにもかかわらず不支給処分とされたため、遺族が不支給処分の取消を求めていた事案で、業務性を認めて労働基準監督署長が行った不支給処分を取り消す旨の判決を下した東京地方裁判所の判決を取り消し、遺族側の請求を退けたというものです。

このように書くと何がなんだか分かりませんが、要は以下のとおりです。

まず、業務上の災害で負傷したり、亡くなった場合には、労働者災害補償保険法により、労働基準監督署長に申請することによって、傷害を負った人であれば療養補償や障害補償、その遺族であれば遺族補償や葬祭料等の支給を請求することができます(いわゆる「労災」)。

被災者やその遺族から労災の申請があると、労働基準監督署長は、労災に該当するか否かを審査して、支給・不支給を決定するわけですが、労働基準監督署長が不支給決定をした場合には、被災者やその遺族は、その処分の取消を求めて裁判を起こすことができます。今回は不支給決定処分とされた遺族が、東京地方裁判所に提訴したものでした(遺族給付不支給決定処分取消請求訴訟)。

このような不支給決定処分取消請求訴訟においては、当該災害が「業務上の災害」に当たるか否かが争われることになりますが、今回は、飲酒を伴う会合が「業務」といえるか否かが争われたわけです(もう少し詳しく述べると、「通勤途上災害」ということも問題となりますが、本稿では割愛致します)。

一般的には、社内の懇親会や慰安旅行は、当該行事が業務上必要であり、参加が強制されているのでない限り、「業務」とはいえないとされていますが、業務性を認めた裁判例もあり、当該行事の主催者、目的、内容、事業主の指示の有無、費用負担等の事実関係を詳細に検討する必要があります。

今回の事案で、東京地方裁判所は、「本件会合は、月一回開かれる主任会議の終了後、事務管理部の主催により」、「その費用は一般管理費会議費として」会社が負担したもので、「そこで懇談される内容も、業務上の問題点」等業務に関するものであると認定して、本件会合の業務性を認めました。

そして、「本件事故が通勤災害であることを否定した本件処分は違法である」と判断しています。

これに対して、東京高等裁判所は、東京地方裁判所と逆の結論となる判決を出したわけです。

皆さんは会社の飲み会等に参加した後に災害に遭った場合に「労災」と認めることについて、あるいは認めないことについて、どのようにお考えでしょうか。

いずれにしても、お酒を飲んで怪我などしないように気をつけなければなりませんし、そもそもお酒の飲みすぎには注意しなければということでしょうか・・・。

なお、東京高等裁判所の判決が公表され次第、当事務所のホームページに解説を掲載する予定ですので、当事務所のホームページもチェックしていただくようお願い致します。

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