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法律コラム

コーラ瓶の立体商標

2008年06月23日

弁護士 野﨑正隆

今年の5月29日、知的財産高等裁判所は、ザ・コカコーラカンパニーの請求を認め、コカ・コーラの瓶ボトルを「立体商標」として認める審決を下しました。

「ボトルの形自体がブランド」 コーラ瓶の立体商標認める 知財高裁

皆さんも「商標」という言葉を一度は聞かれたことがあると思います。

法律上、商標は、「文字・図形・記号もしくは立体的形状もしくはこれらの結合またはこれらと色彩との結合であって、かつ、1.業として商品を生産し、証明し、または譲渡する者がその商品について使用をするもの、あるいは2.業として役務を提供し、または証明する者がその役務について使用するもの」をいいます(商標法2条1項)。

分かりにくい表現かもしれませんが、有名ブランドの商品をお考えいただければ明らかなように、商品やサービスの名称、図形、記号等には他の同種商品、サービスと識別するという機能があり、また、それらの名称、図形、記号自体にも財産的価値が認められることから、これを保護する法律が商標法である、と理解していただければよいと思います。

なお、1.は商品商標(トレードマーク、TM)、2.は役務商標(サービスマーク、SM)と呼ばれていますが、1.の商品商標は、日常目にすることが多いだけに比較的イメージしやすいのではないでしょうか。前記コカ・コーラの瓶ボトルもこの商品商標です。

2.の具体例としては、日本放送協会がTV放送等の際に呼称している「NHK」等が挙げられます。

なお、2.に関連し、昨年4月1日から「小売等役務商標制度」が実施されています。

商標登録出願の際には、政令で定める45の分類の区分に従って、「指定商品」「指定役務」を定める必要があるのですが、これまで小売業者や卸売業者が行う「顧客に対するサービス活動」(例えば、品揃え、商品の陳列、接客サービス)は、商品販売に付随する活動であるとして、登録できない役務とされていました。

小売等役務商標制度は、これらサービス活動を指定役務として認め、個別商品の販売と関連性が低い(けれども重要なサービス活動)を保護するものです。

より詳しい解説が下記サイトのパンフレットに掲示されていますので、興味がある方は是非参照してみて下さい。

「小売等役務商標制度のお知らせ」パンフレットについて

さて、立体商標の話しに戻りますが、このような「立体的形状」が商標法上保護の対象とされたのは、平成8年(その改正商標法の施行は平成9年)と比較的近年で、これまでに立体商標として認められたものには、ペコちゃん・ポコちゃん人形(株式会社不二家)、大隈重信像(早稲田大学)があります(後者は、今回この記事を作成するにあたりネットの記事を読んで初めて知りましたが、他の大学でもこのような登録をしているのでしょうか。早稲田は上手く制度を活用していますね)。

そして、今回のコカ・コーラの瓶ボトルについて、裁判所は、リターナブル瓶(瓶ボトルのうち、再回収を予定している瓶)の使用によって「自他商品識別機能」を獲得していると判断し、商標登録を認めました。

商標法上、商標登録の実体的要件として、識別力(特別顕著性)が要求されており、裁判所は「商品等の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標」として、商標法3条1項3号に該当する(=商標登録が認められない要件の一つに該当する)と判断しつつも、「使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができる」という商標3条2項の規定に則り、商標登録を認めたのです。

個人的には小さい頃からボーリング場等の娯楽施設でよく見かけていた形状であり、シルエットをみてもすぐにコカ・コーラの瓶と判別できるほどですから、極めて妥当な判断であったと思います。

また、判旨を読むと、リターナブル瓶は、「昭和46年には、23億8000万余本もの売上げを記録したが、その後、缶入り商品やペットボトル入り商品の販売比率が高まるにつれて、売上げは減少しているものの、なお、年間9600万本が販売されて」いるそうです。ペットボトルと異なり、洗浄後に瓶をそのまま再利用するわけですから極めてエコロジーですし、販売を継続してもらいたいものですね。

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