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慰謝料って何?

2008年05月26日

弁護士 田代耕平

1.慰謝料という言葉は,皆さんもよく耳にする言葉だと思います。

ドラマなどで、「慰謝料を払え!」などと強面の俳優さんが言っていたり、日常的にも「慰謝料を払ってもらうからね。」などと冗談で言ったり言われたりします。
では、この慰謝料とはいったい何なんでしょうか。

皆さんも、なんとなく慰謝料とは他人に迷惑をかけられた時に請求することができるものであるということはお分かりだと思います。そのとおりではあるのですが、正確には、慰謝料とは精神的損害に対する損害賠償請求権のことを指します。

たとえば、殴られたときや離婚したときなどに慰謝料が発生します。これに対して、財産的な損害賠償請求もあります。上記の例でいえば、殴られて通院した場合の治療費や通院交通費などがこれにあたります。

2.では、慰謝料の相場はいくらぐらいなのでしょうか。

慰謝料の相場は、相談者によく聞かれる項目の一つです。しかし、結論からいうと、明確な相場があるわけではありません。なぜなら、慰謝料とは先ほどご説明したとおり、精神的損害に対する損害賠償請求であって、同一の事件であっても個々人によってその精神的損害は異なるからです。

もっとも、裁判においては、裁判官は、慰謝料の額を決定しなければなりません。しかし、精神的損害は個人の内心にかかわることであって、裁判官もその精神的苦痛を正確に把握することは不可能です。

そこで、事件の客観的な事情から最終的には金額が決定されることとなります。たとえば、離婚事件を例にとってみると、離婚に伴う慰謝料は、婚姻期間、同居期間、相手方の年齢等の客観的事情によって決定されます。

もっとも、上記事情が同一の事案であったとしても、大きく慰謝料が異なることがあります。それは、相手方の経済力によって慰謝料額が大きく変わってくるのです。このことは、非常に奇妙なことです。なぜなら、慰謝料とは精神的苦痛に対する損害賠償請求であったはずだからです。

ですから、婚姻期間が長い場合にはそれだけ離婚に伴う精神的苦痛が多いことはわかります。また、相手方の年齢が結婚適齢期を超過している場合には、再婚の可能性が少なく人生のやり直しが利かないという意味で精神的苦痛が大きいことも理解できます。

しかし、相手方の経済力によって精神的苦痛に差が出ることには違和感を覚えます。たしかに、経済力のある相手方と離婚することは、今後想定していた生活が保障されなくなるという意味では、精神的苦痛が大きいのかもしれません。

しかし、そのような期待が慰謝料の増額事由として認められてよいのでしょうか。私が純粋なせいかもしれませんが、経済力のある人間と離婚しても、経済力のない人間と離婚してもその悲しみは、同等でるように思います。

実際は、支払いができるところからは、きっちり取るということなのかもしれません。

3.以上のように、慰謝料とは一応の判断基準はあるものの明確な相場があるわけではありません。

そこで、離婚事件に限らず、慰謝料は、交渉・訴訟において和解金を定めるときの調整弁としての機能を果たしています。

すなわち、財産的損害を立証できないけれども、どうしても立証できる財産的損害のみでは和解したくないような事情があるときに慰謝料によって和解金を調整して折り合いをつけるのです。

上記の経済力によって離婚慰謝料額が変わってくるのも、この調整弁としての機能の現れであるように思います。

4.皆さんも、冗談で「慰謝料を払ってもらうよ。」と発言した際に、類似の判例等を調べてみると、認容された慰謝料額が結構まちまちであることに驚かれるのではないかと思いますので、一度試されてはいかがでしょうか。

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