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法律コラム

クーリング・オフについて

2008年04月14日

弁護士 福田 直之

1.総論

「クーリング・オフ」という言葉を聞くとどういうことをイメージされるでしょうか。

おそらく、訪問販売などで物品を購入した際に一定の期間において契約を解除できる制度という程度の認識ではないでしょうか。

しかし、実際は、特定商取引に関する法律(特定商取引法)のほか様々な法律において、「クーリング・オフ」は規定されており、訪問販売における物品の購入以外でも多数クーリング・オフの制度が利用できる場面があります。

今回は、クーリング・オフの制度の概要について、特定商取引法に基づいて説明をします。

2.クーリング・オフとは

クーリング・オフとは、法律上定められている取引について、契約者が法定の期間内において、無理由かつ無条件で申込みの撤回をし、又は契約を解除できるという制度です。

クーリング・オフの制度が設けられた趣旨は、その名のとおり、消費者が取引において、一方的な情報により冷静さを欠いて契約を結ぶなどによって不利益をうけることを防ぐために、一度冷静になって再考する時間を与えるというものであって、消費者の保護を目的としています。

消費者の保護を目的とした制度であるため、特定商取引法上、事業者が結んだ契約はクーリング・オフの適用がありません(特定商取引法26条)。

3.特定商取引法におけるクーリング・オフが可能な取引

特定商取引法上、

  1. 訪問販売(キャッチセールス、アポイントメントセールスを含む。)
  2. 電話勧誘販売
  3. 連鎖販売取引(いわゆるマルチ商法など)
  4. 特定継続的役務提供(エステ、語学教室、家庭教師、パソコン教室など)
  5. 業務提供誘因販売取引(いわゆる内職商法、資格商法など)

の5つが法定されています。

なお、通信販売については、広告等について特定商取引法上の規制はありますが、クーリング・オフの規定は存在しません。

4.クーリング・オフの行使可能期間及び行使方法について

クーリング・オフは、1、2、4については、法律で定められた書面を受領してから8日間(特定商取引法9条、24条、48条)、3、5については20日間(同40条、58条)行使することが可能です。

すなわち、法律で定められた書面を受け取っていた場合に初めて8日間又は20日間の期間制限に服するのであり、これらの書面を受け取っていなかった場合、書面を受け取っていたとしても法律に定める事項を欠いた書面であった場合などには、期間制限なく、クーリング・オフを行使することが可能になります。

行使の方法は、書面により行うことになっています。また、クーリング・オフの効果は、書面を発送したときに効果が生じるので、いつの時点で発送したのかを明確にするためにも、内容証明郵便等で発送することが望ましいでしょう。

5.クーリング・オフの効果

クーリング・オフの効果としては、申込の撤回又は契約の解除されることにより、契約等で既に支払った金員があった場合には、それを返還してもらうことができます。

また、消費者は、申込の撤回又は解除に関して損害賠償や違約金の支払いをすることはなく、それまで受けた役務の対価を支払う必要もない上、手元に商品等が存在している場合には、販売業者等の費用負担において回収してもらうことができます。

6.まとめ

このように、法律上クーリング・オフについての細かな定めがなされており、その範囲も広範に及んでおりますが、その詳細については、あまり世間に知られていないのが現状であると感じます。

今後、何回かに分けて、各論的にクーリング・オフの制度について紹介するとともに、クーリング・オフが消費者の保護を制度の趣旨としているために、個人の事業主が巻き込まれるトラブルの事例等を紹介していきたいと考えております。

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