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車はハイビームが基本?

弁護士ブログ

車はハイビームが基本?

弁護士 石塚 慶如

弁護士の石塚です。
最近は札幌市内も寒さが増してきて、冬将軍の訪れが近いことを物語っています。

さて、今回は北海道内では冬に増加する交通事故です。その中でも最近話題の車のヘッドライトに関するお話です。

先日、警視庁の調査で、横断中の交通死亡事故のうち96%の事案で、車両のヘッドライトが「ロービーム」であったことが判明したことから、「ハイビーム」の呼びかけを行っているとのことです。北海道警察も同様に、ホームページ上でハイビームの呼びかけをしています。

この「ハイビーム」とは、車両から100m先まで照らすことのできるライトのことです。他方で、「ロービーム」は、車両から40m先までしか照らすことができません。

普段運転をしていると、ハイビームで走行している車両はあまり見かけませんし、ハイビームがまぶしくて対向車に迷惑がかかるという気持ちの方も多いと思います。それゆえ、運転者の多くは、「ロービームが基本」と思われている方が多いのではないでしょうか。

法的にどうなのかを整理すると、道路交通法52条1項によると、夜間に車を運転する場合は、政令に従って、「前照灯」などを点けないといけないとされています。この「前照灯」について、道路交通法施行令や道路運送車両の保安基準によると、前照灯は、夜間に車両前方の障害物を確認できる明るさ等がないといけないとされ、具体的には、これを定めた告示があり、前方100mの傷害物を確認できる明るさが必要とされています。そして、ロービームは車両から40m先までしか照らすことしかできませんので、夜間はハイビーム走行が基本となります。

少しややこしい話ですが、法令上、夜間に車を運転する場合には、基本的にハイビームにしなければならないのです。他方で、ロービームの役割ですが、対向車などとすれ違う際に使う役割があります。

このように、法令と実際の運用が逆転してしまっているのですが、実際の裁判例でも、ハイビームにしなかったことなどが理由とされて請求が認められなかったものがあります。

その事案は、大型バイクの運転者が道路前方に設置されたバリケードの存在に気付かず衝突し、バイクが損傷したという事案です。運転者は、法定速度を超えるスピードで走行していたことのほか、ライトをハイビームにしていませんでした。この件で運転者は、道路に十分な照明や警戒標識がなかったことが道路の欠陥であるとして道路管理者に対して損害賠償請求をしました。

これに対して裁判所は、基本的にハイビームで走行する義務があることを前提に「照明施設のない暗い道路であることに鑑み、車両等の前照灯をハイビームにした上で、前方に交通上の障害物を発見したときはこれを回避し得るような安全な速度で進行すべき注意義務があるというべきである」として、照明や警戒標識がないことが道路の欠陥にあたらず、運転者の請求を認めませんでした。

このように基本的にハイビームで走行しなければいけないということが、実際の裁判でも認められているのです。

ハイビームとロービームの切替えを意識的に行うことが、事故防止や事故後に自分を守ることにつながるものと思われます。

弁護士 石塚 慶如
弁護士 石塚 慶如

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