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子どもの自転車事故と親の責任

弁護士ブログ

子どもの自転車事故と親の責任

弁護士 石塚 慶如

こんにちは。
弁護士の石塚です。

今年から登山を始めました。初心者にも関わらず、先日羊蹄山に登ってきました。比較的初心者向けとされる比羅夫コースから登ったのですが、台風直後で登山道が荒れていて登りにくく、足はガクガクの状態でした。それでも、仲間の支えもあり、無事登頂して下山することができました。

子どものころは意識しなくてもよく遊び、よく運動していましたが、大人になると意識して動かないと体力が落ちていくので、最近は登山で体力づくりをしています。

さて、今回のコラムのテーマは、よく遊びよく運動する子どもの自転車事故の話題です。

自転車事故については以前私がこちらのコラムに書かせていただきましたが、最近も子どもに関する事故と親の責任の問題がクローズアップされていますので、この点を中心に取り上げさせていただきます。

自転車事故は、警察庁の統計上、年間約9万8000件も発生しています。このうち、事故の相手が歩行者である事故は約2500件です(警察庁ホームページから抜粋)。

この約2500件は、警察への通報で認知された件数と考えられることから、歩行者に一定程度の重いケガが発生した事案と想定されます。軽微な事故を含めると、背後には相当数の自転車事故があり、この件数は、いわば氷山の一角といってよいと思います。

自転車事故の特徴は、小学生以下の子どもたちが加害者にもなりうるところです。そして、子どもの年齢が低く、責任能力がない場合には、親権者である親が監督責任を負わなければならないこともあるのです。

現実にも、子どもの自転車事故で親が訴えられ、多額の賠償責任を負ったケースがありますのでご紹介します。

【事案】

11歳(小学校5年生)の男の子が、歩道の設置がなく路側帯もない道路を自転車で走行していたところ、同じ道路を歩行していた62歳の女性と正面衝突してしまいました。女性は急性硬膜下血腫などで植物状態となり、回復の見込みはありません。なお、この男の子の親権者は、同居している母親のみでした。

【判決の内容(神戸地裁平成25年7月4日判例時報2197号84頁)】

11歳の男の子には、自転車を運転する際に十分に前をよく見なかった過失があるものの、年齢が低く責任能力がないとしました。

他方、母親に対しては、男の子に自転車の走行方法などを日ごろから十分指導・注意しておらず、親権者としての監督上の過失があり、損害賠償義務があるとしたのです。

その損害額は、9800万円余りと認定され、男の子の母親は、このうち一部を控除した9520万円余りの支払いを命じられたのです。

この判決で教訓とすべきことは、

  1. 小学生以下が乗る自転車も加害者となること
  2. 自転車でも大きな被害が発生すること
  3. 子どもの責任を親が負う場合があること

です。

子供に責任能力があるかどうかについての統一的な基準はなく、おおむね11歳から12歳以下は責任能力がないとされています。そして、子どもに責任能力がない場合、その親が責任を取らなくてはいけない可能性があります。

また、本来であれば、親が十分な監督をしていれば監督責任は認められません。しかし、実際に監督責任が発生しない事案はあまり多くありません。そのため、親としては、「自転車だから車と違う」、「自転車だから大丈夫」と軽信しないことが重要です。

ただ、このように責任を負う可能性があることを理由に、子どもの自転車を全て自粛するというのは、望ましい解決方法ではないと思います。

当然ながら、親が子どもを教育する一環で、今回のコラムや各種交通安全の情報を参考に、自転車走行についてきちんと伝えてあげることが重要ですが、これとともに、きちんと自転車に関する保険に加入することが重要となります。

保険については、以前のブログでご紹介いたしましたが、基本的には個人賠償責任保険によってカバーできますが、保険の対象となる方(被保険者)、保険金額についてはきちんと確認することが必要です。また、その際には、保険の重複になっていないかも注意が必要となります。

子どもの発育と地域の安全が両立するように、個人だけでなく、地域ぐるみで事故防止や事故対策をすることが重要です。

札幌総合法律事務所では、子どもたちが法に興味をもち、個人を大切にできる社会活動の一つとして、子どもと大人のための冬休み自由研究応援企画をご用意しております。平成28年1月7日午後1時から4までの間、当事務所で開催致します。

弁護士の仕事やここでしか聞けない話など、冬休みの自由研究にも使える話題がたくさんあります。また、ご来場の記念品もお渡ししております。ぜひお気軽にお申込み下さい。

弁護士 石塚 慶如
弁護士 石塚 慶如

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